弥勒菩薩(みろくぼさつ)とは?

弥勒菩薩といえば、広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像(はんかしゆいぞう)」が
有名です。学校の美術の教科書などにも出てくるので多くの人が
一度は目にしたことのある美しい微笑をたたえています。

その口元は、ウルトラマンの口のモデルになった
といわれるほどの美しさですが
弥勒菩薩とは一体どんな菩薩なのでしょうか。

弥勒菩薩とは

弥勒菩薩は、地球上で、お釈迦さまの次に
仏のさとりを開くといわれている人です。

ですからまだ仏のさとりは開けていません。
仏のさとりを目指して、現在、修行中です。

さとりといっても、仏教では、低いものから高いものまで全部で52あり、
その一番上の52段目が仏のさとりです。
菩薩」とは「菩提薩た」の略ですが、
菩提」とは仏のさとりのことで
薩た」は求める人ということですから、
菩薩とは、仏のさとりを求めて修行中の人のことです。

ところがさとりを一段も開いていない、ゼロ段から
52段の仏のさとりを開くまでには
普通は三阿僧祇劫という長期間修行しなければなりません。

一劫は4億3200万年、
阿僧祇は10の56乗ですから、
三阿僧祇劫はその3倍です。

弥勒菩薩はすでに長い長い間修行をして、あと1段で仏という
51段のさとりを開き、菩薩の中では最高の位にありますが、
今も天上界の兜率天の内院で修行中です。

では弥勒菩薩はいつ頃仏のさとりを開くのでしょうか?

弥勒菩薩はいつ仏のさとりを開くの?

弥勒菩薩が仏のさとりを開く時期について、
お釈迦さまは『菩薩処胎経』というお経に
弥勒まさに知るべし、汝また記を受く、
 五十六億七千万歳、この樹王の下に於て無上等正覚を成る

と説かれています。

弥勒菩薩は、あと56億7千万年で、兜率天から人間界へ下って、
仏のさとりを開く、ということです。
その名を「婆意多利耶如来(ばいたりやにょらい)」といいます。

そして、弥勒菩薩が仏のさとりを開いた日に、
3回の説法がなされ、それを聞いた多くの人がさとりを開く、
と説かれています。

そのため、弥勒菩薩を信ずる人に2種類あります。

2つの弥勒信仰

その2つの弥勒信仰とは、
上生信仰(じょうしょうしんこう)」と
下生信仰(げしょうしんこう)」の2つです。

上生信仰

上生信仰」とは、自分が弥勒菩薩のいる兜率天に生まれ、
やがて56億7千万年後に一緒に人間界に生まれたい
とを願う信仰です。

上生信仰は、法相宗などの奈良仏教、
天台宗真言宗で行われていました。

例えば大化の改新の中心人物で、藤原氏の繁栄の基礎を築いた
藤原鎌足は、兜率天に生まれたいと思っていました。
藤原鎌足ゆかりの興福寺は法相宗ですが、
たくさんの弥勒菩薩像があります。

真言宗空海も、兜率上生を願っていました。
また、空海の甥で、延暦寺5代目座主をつとめた天台宗円珍
兜率上生を願っています。

しかしながら、上生信仰は、
自力による大変な修行が要求されるため、
下生信仰が生まれました。

下生信仰

下生信仰とは、56億7千万年後、
弥勒菩薩がこの世に現れて仏のさとりを開くときに、
弥勒の救済にあずかりたいというものです。

天台宗最澄は空海に、
ともに弥勒に会うときを待ちたいですね
という手紙を書いています。

空海についても、後世になると、
死んだのではなく、高野山奥の院で、生きながら
弥勒菩薩の下生を待っているという伝説が生まれました。

このような弥勒下生信仰は、弥勒がこの世に現れて救ってくだされる
ミロクの世」を願うことになり、
56億7千万年後は、作物がよく実り、
人間の寿命ももっと延びていると説かれていることから、
いつか救世主が現れて、ユートピアが実現されることを願い、
メシア思想や現世利益と結びつきます。

よく「自分は弥勒の生まれ変わりである」とか
今こそ弥勒下生のときである」という人が現れて
政治運動や、新興宗教を開きますので注意が必要です。

江戸時代の「ええじゃないか」も
凶作・飢饉にあえぐ農民たちが、
五穀豊穣のミロクの世を求める信仰から起きた
とも言われています。

しかしながら、弥勒下生は、あくまで56億7千万年後です。
お釈迦さまがお亡くなりになってから、まだ2600年しか経っていませんので、
弥勒菩薩の出現まで、あと56億6999万7400年待たなければなりません。
待っているうちに、人生終わってしまいます。

ところが、お釈迦さまは、
弥勒菩薩より先に仏のさとりを開く法を説かれています。

婆さんが弥勒菩薩より先に仏のさとりを開く

昔、尾張の国に住んでいた無住禅師が、
ある日、茶店でお茶を注文しました。

すると、お茶を準備しに行こうとしたお婆さんの後ろ姿に、
猫のしっぽが出ているのが、禅師には見えました。

禅師が、
婆さんや、あんた悪いことしとるなあ、
 死んだら次は猫に生まれるぞ
」と言われると、
お婆さんは、顔色を変えて、
私が畜生道におちなければならないとはどういうことですか
と聞き返しました。

禅師はそれなら証拠を見せてやろうと、
お婆さんの猫のしっぽを足で踏み、
それ動けるなら動いてみよ
といわれますが、
お婆さんはまったく動けませんでした。

驚いたお婆さんは
今日より行いを反省して改めます。
 どうしたら逃れることができるでしょうか

と尋ねると
わしは弥勒菩薩に会いたいから定に入るが、
 定に入れず観念もできない悪人を救うと
 阿弥陀如来が名号を完成されたから、
 それを聞き開けば助かる
」と教えられました。

それを聞いたお婆さんは深く懺悔して
お寺の縁先で一生念仏して送ったと言われています。

さらには、このお婆さん、あとで無住禅師に
どうしてあなたは弥勒菩薩の出世を待たれるのでしょうか。
私は助けられたご恩のあるあなたさまが苦労されるのは見ていられませんから
名号をいただいて共に浄土へ参って下さい

と言っています。

このように、どんな人でも阿弥陀仏の救いにあえば、
生きているときに絶対の幸福の身に救われ、
死ねば極楽浄土へ往って、
弥勒菩薩より先に仏のさとりを開けるのです。

弥勒菩薩を超える幸せになる方法

このことについて、お釈迦さまは、弥勒菩薩に対して、
どんな人も仏教を聞けば、苦しみ迷いの根元が断ち切られる瞬間がある。
よく知るがよい、この人は、この世で限りない功徳と一体になり、
絶対の幸福になれるのだ
」と説かれています。

そうなった人は「ついで弥勒の如し」と『大無量寿経』に説かれ、
弥勒菩薩と同等になると教えられています。
生きているときに、さとりの52段中、
51段まで高飛びするということです。

そうなった人は、死ぬと同時に極楽浄土へ往って仏のさとりを開きますから、
56億7千万年後に仏のさとりを開く
弥勒菩薩を超える幸せな身になれるのです。

では、苦しみ迷いの根元とは何かについては、
小冊子とメール講座にまとめてあります。

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