布施とは?

六度万行の第一

お釈迦さまが生涯を通じて教えられたのは、
「善いことをしなさい」
ということです。

そしてお釈迦さまは、一生涯、たくさんの善を説かれました。

そのお釈迦さまが説かれたあらゆる善を
6つにまとめられたのが
六度万行(ろくどまんぎょう)」です。
六波羅蜜(ろくはらみつ)」ともいわれますが、以下の6つです。

布施(ふせ)……親切
持戒(じかい)……言行一致
忍辱(にんにく)……忍耐
精進(しょうじん)……努力
禅定(ぜんじょう)……反省
智慧(ちえ)……修養

その「六度万行」の中でも、一番最初にあげられるのが、
「布施(ふせ)」です。

「布施」とはどんなことなのでしょうか。

布施とは

「布施」というのは、現代の言葉でいえば、親切のことですが、
ほどこしをすることです。

大きく2つに分けると、法施と財施があります。

法施とは、仏法を施すことで、
仏教の話をすることです。

財施は、財を施すことです。
財というのは、お金や物、労力も入ります。
お金を与えるだけでなく、何かをプレゼントしたり、
手伝ってあげたり、ということです。

財施には、大きなポイントがあります。
同じお金や同じ物を与えていても、
それによって結果が変わってくるのですが、
それは一体何でしょうか。

布施の重要ポイント

布施の重要なポイントは心が大事ということです。
ほどこしで、お金や物の量よりも大事なのは、心なのです。

ある時、ツルゲーネフという、ソ連の作家の門の前に、
乞食が立ったことがありました。

しかし、ツルゲーネフも、その時
自分がその日食べるものがない状態で
何とか何か分けてやりたいと思っても、何もありませんでした。

それで、乞食の手を握って「兄弟」と手を握ったそうです。
あとからその乞食は、
長い間乞食をしていたけれども、
あのとき以上にうれしい頂きものしたことはなかった

と述懐したそうです。

一体、ツルゲーネフは何を施したのでしょうか。
何もなくとも心からの親切が、どんなに周りを明るく、
和やかにするか分かりません。

逆に、100円くれたとしても、乱暴に投げつけられたら
嬉しくないのではないでしょうか。

ではここで、
それなら友達に100円おごろうと思っていたけど、
ツルゲーネフのように心だけにして、100円はやめておきます

という人があれば、この内容を正しく理解しているでしょうか?

もし、お金がある人が心がある場合、ほどこしが増えるはずだからです。
お金や物の「量」よりも、一番大事なのは、「心」
だということです。

布施の心構えとは?

ところが、
これだけ親切したから、これくらいは見返りがあるのではないか
というのは、商売であって、親切ではありません。

これだけやっているのに何もしてくれない
などと思ったら、よけい腹が立って不幸になってしまいます。

お釈迦さまは「三輪空」といって他人に親切した時、
この3つを空じなさい、忘れなさい。
と教えられています。

施者…私が
受者…誰々に
施物…何々を

親切は、心が大事ですから、
このような心がけで親切をしてこそ、本当の親切なのです。

どんな人に財施をすればいいの?

ところが、財施は、意外と誰でも彼でも
しまくればいいのではありません。

例えば、悪人にはしないでください。
悪人にほどこしをすれば、
ますます世の中が悪くなるかもしれません。

また、なまけものにほどこしすれば、ますます堕落してしまい、
遊び人にほどこしをすれば、ますます身の破滅です。

お釈迦さまは、財施の相手を教えられて
福田」と説かれています。
田畑は私たちの命をつなぐ米や麦を生み出す土地ですが、
福田は、私たちの心の糧となる福徳を生み出すといわれています。

田畑に種まきすると、いったん自分の財産が減ったように感じますが、
やがて秋になって何倍もの収穫があります。
同じように、心をこめた親切は、親切をした人に報われます。
ほどこしは受けた人よりむしろ、
ほどこしをした人が幸せになるのです。


例えば挨拶は、される人が幸せなのではなく、
挨拶する人が幸せなのだということです。

布施の3通りの相手

その福田といわれるものに次の3つあります。
敬田…敬うべき徳を備えている人
恩田…ご恩をこうむった人
悲田…苦しみ悩んでいる人


このような相手にほどこしをすれば、
大きな幸せがかえってくるのです。

布施をしやすくなる(幸せになる)心がけ

このように、親切は幸せへのすばらしい道だと思っても、
自分の欲のことばかり考えている私たちには、
なかなかできません。

そこで、お釈迦さまは、こう説かれています。
親切しようと思う人は、
そのうち余裕ができてから大いに親切しよう
と思っていると、到底できるものではありません。

お金も財産もできないうちに、人に盗まれたり、
事故などで失ったりして、後悔します。
ついには自分も親切せずに死んでしまいます。

だから親切は思い立った時にするようにと教えられています。

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