禅定(ぜんじょう)とは?

今回は、六度万行の5番目の「禅定」についてです。
禅定」とは、「」も「」も同じことで、心をしずめ、定めることです。
つまり、心を一つにすることです。

心を一つにするというのは、一体どんなことなのでしょうか?

心が散乱する私たち

禅定」の反対は、「散乱」です。
私たちは、何となく心がざわつくことがあります。
気になることがたくさんあって、次から次へと心に浮かんでは消えたり、
やらないといけないことがたくさんあるのに、何も手につきません。
そして何もしていないのに、気が滅入ってきて、
結局何もできないまま、次々と手遅れになって大変なことになってしまいます。

ノーマルモードの私たちの心は、
散乱しているのです。

そんな、心があっちへ飛び、こっちへ飛び、
大宇宙をかけめぐっている私たちに、
ブッダは、心をしずめ、一つにしなさい、
と「禅定」を教えられているのです。

心を一つにする科学的な効果

禅定」は、2600年前から教えられていることですが、
最近では、心を一つにするすばらしさが、
科学的にも分かってきています。

たとえば、マイクロソフトの研究チームは、
マルチタスクとシングルタスクで、
どちらが作業効率がいいかを研究しました。

マルチタスクというのは、色々な作業を同時並行で行うことで、
シングルタスクというのは、一つずつ作業することです。

一見、マルチタスクのほうが、たくさんの仕事ができそうなのですが、
研究の結果、逆にマルチタスクのほうが、
40%も作業効率が落ちることが分かりました。

つまり、物事は一つずつやったほうが、
1.67倍も作業効率がいいのです。

それというのも、人間の脳は、複数のことを同時にすることはできず、
1つずつ実行しているのです。
一見、同時にやっているように見えるのは、
1つずつの作業を高速で切り替えているだけだったのです。

道理で1つに集中したほうが、効率がいいわけです。

心を一つにする方法

しかしながら、1つずつ作業したほうが効率的とわかっても、
やるべきことが色々あると、どうしても気になって、心が散り乱れます。

どうすれば、一つに集中できるのでしょうか。

これは、素手で立ち向かうのは手強いですので、道具を使いましょう。
1.まず紙を用意して、やらなければならないことを書き出します。
2.次に、やる日が決まっているものは、手帳などに書き込みます。
3.最後に、残ったものを優先順位順に並べ直します。
あとは、一番重要なことから一つずつやっていくだけです。

こうすると、ストレスが減り、
心が安定して重要なことに集中できます。
手遅れや失敗も減り、時間も増えて、
やりたいことが自由にできるようになります。

ふだんそれほど心がざわついていない人でも、
ミスをなくし、はるかに多くのことができるようになります。

このように、何かに心を集中するのも大切ですが、
もう一つ大切なのは、自分の心を見つめて、
自分の行いを反省することです。

あなたの運命はどのように決まる?

あなたの運命はどうやって決まるのでしょうか。
まかぬタネは生えませんが、まいたタネは必ずはえる。
幸福も不幸も、すべてあなたの行いが原因なのだと
仏教で解き明かされています。

西洋のことわざにも
You reap what you sow.
ユーリープ ホワットユーソー。

(あなたは、自分がまいたものを刈り取る)
という言葉があります。

ですから、不幸や災難がきた時、自分の過去の行いを
反省できれば、向上があるのです。

逆に反省できなければ、同じ不幸が繰り返し襲ってきます。

失恋を繰り返す人は、
失恋を相手のせいにする傾向があると
アメリカの心理学の研究結果もあります。

自分のどこが悪かったのか反省する人は、
次はうまく行く傾向にあるようです。

反省すると、落ち込んでしまう?

反省は、幸せを生み出す善い行いですから、
反省によって、不幸が生じることはありません。

反省して自己嫌悪に陥ったり、落ち込んだり、うつになる、
というのは、まだ反省できていないのです。

たとえば、後で食べようと思って
冷蔵庫に入れておいたプリンが
知らないうちになくなっていたら、
「きっと妹が食べちゃったんだ」
と思って腹が立ちます。

ところが、考えてみると
「やっぱり自分が食べたんだった」
と思い出すと、腹立ちがすーっと消えてしまいます。

まだ腹が立っているとすれば、
心の中では人のせいにしているのに、
むりやり自分が悪いと思おうとするからです。

「自分をこんなにしたのは、あいつのせい、こいつのせい」
調子の悪い時、自分に不幸がきた時、
他人や環境に原因があると思いがちですが、
それは本当でしょうか。
一呼吸置いて、自分に落ち度はなかったのか、
振り返って見るようにしましょう。

自分が悪かったと分かれば、
相手を恨んでいた気持ちも、
すーっとおさまります。

不幸なのは、恨まれた人?それとも恨んでいる人?

他にもこんな言葉があります。
Happiness consists in contentment.
ハピネス コンシスツ イン コンテントメント。

幸せは満足によってできている)
世の中には、すぐれた才能や美貌、お金や財産、健康があっても、
ウラミや呪いの人生を送っている人があります。

逆に、何もなくても、周りに感謝して、生きる喜びいっぱいに
生きている人もあるのです。

幸せか不幸かということは、
どれだけの物を持っているかによって決まるのではありません。
心によって決まるのです。

心の豊かな人は、幸せですし、
心の貧しい人は、苦しみます。

恨まれている人が不幸なのではありません。
恨んでいる人が不幸なのです。

つまり、
この世でもっとも不幸な人は、
他人を恨み、世間を呪い
感謝の心のない人なのです。

自分が悪かったとわかれば向上できる

あなたが不幸になるのは誰のせいでしょうか。
間違いなく、自業自得です。

失敗を真正面から見つめることができれば、
その不幸を引き起こした行いを反省して、
同じ失敗はせず、
しかも、今までになかった向上ができるのです。

実際、ライト兄弟はキティーホークで初の有人飛行に成功する前、
何度も墜落しました。

それを人や環境のせいにしていたら、飛行機はできたでしょうか。

リンカーンは上院選に2回落ちました。
ディズニーの最初のアニメ会社はつぶれました。

その失敗を見つめ、行いを反省し、向上したのです。

トーマス・エジソンは白熱電球を作るまでに失敗を
1万回くらい分析しました。

ジョン・ペンバートンは健康飲料を作る過程での
失敗を探った結果、
コカコーラを世に送り出しました。

アーサー・フライは接着力の弱い接着剤という
失敗の分析から、ポストイットを考え出しました。

今直面している不幸を乗り越えたところに、
すばらしい世界が広がっているのです。

何か不幸や災難が起きたときは、
他人のせいにせず、自分のたねまきを振り返り、
反省するようにしましょう。

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