男尊女卑(だんそんじょひ)は仏教にもある?

男尊女卑」とは「男を尊び女を卑しめる」と書くように、
男性よりも女性を下に見て、権利が制限される男女差別です。
仏教は男尊女卑の教えなのでしょうか?

世界の宗教にみられる男尊女卑

人類の歴史上、ほとんどの社会が父系社会で、
宗教でも、ほとんどが男尊女卑の傾向にありました。

キリスト教

キリスト教では、は父ですから男です。
それに似せて男であるアダムを創り、
女はそのあばら程度のものです。

そしてに禁じられていた「知恵の実」を食べて、
男にも勧め、原罪を造ります。

そして中世には魔女狩りが行われたり、
男尊女卑が行われてきました。

イスラム

イスラムでは、上記の旧約聖書も用いますし、
コーランには
アッラーはもともと男と女の間には優劣をおつけになった
とあります。

現在でもイスラム社会での女性の社会的な権利は
男性に比べて制限されています。

例えば、遺産相続では、コーランに
アッラーはこうお命じになっておられる。
 男の子には女の子の二人分を

とあり、女性は男性の半分しか相続できません。

神道

日本の神道では、国を生んだであるイザナミは、
夫のイザナギよりも先に死んでしまいます。
そこで、イザナギは、イザナミに会いに、
死後の世界である黄泉の国を訪れます。

ところがイザナミは死のケガレにとりつかれて、
腐っていました。

その姿に驚いたイザナギは逃げ出します。
イザナミは追いかけてきますが、
命からがらイザナギは脱出できました。

そして、けがれた体を清めるのですが、
そのときに生まれたのがアマテラスです。

このような神話に表れるように、
神道では死をケガレとしますが、血もケガレとします。

そのため神道では、女性は穢れているとして、
神社に入れなかったり、
大相撲の土俵にあがれなかったり、
色々な制限があります。

儒教

中国の儒教の孔子は、
世界の四大聖人の一人といわれますが、
離婚経験があり
女人と小人は養い難し、
 これを近づければすなわち不遜なり、
 これを遠ざければすなわち怨む

と言って、女性との人間関係はお手上げです。

そして儒教の『儀礼(ぎらい)』には、有名な
未だ嫁さずは父に従い、
 既に嫁しては夫に従い、
 夫死しては子に従うものなり

という「三従(さんじゅう)の義」を教えています。

ヒンズー教

インドのヒンズー教の前身である
バラモン教の『マヌ法典』にも
女は幼いうちは父に、若い時は夫に、
 夫が死んだ時は息子に守られるべし。
 自立はふさわしくない

と儒教の三従と同じようなことが教えられています。

では仏教ではどうなのでしょうか?

仏教は男尊女卑?

仏教でもこのインドの習慣を受けて、
特に漢訳経典で「三従」が説かれるところがありますし、
増一阿含経』や『中阿含経』に
五障」が説かれるところもあります。
五障」とは、女性は、梵天、帝釈、魔王、
転輪聖王、仏の5つにはなれない
というものです。

また、女性を特に罪深きもののように
説かれているところがありますが、
これは決して男尊女卑の考えからではありません。

なぜこのようなことが説かれているのか

仏教では、対機説法といって、相手に応じて法が説かれます。
たくさんのお経の中には、
矛盾するようなことを説かれている場合がありますが
それは相手に応じて説かれているからです。

女性を罪深いもののように説かれるの相手は、
主に男性の僧侶や一般の仏道修行者で、
これらの人々が修行中に色欲によって道を迷わないように、
また執着をはなれさせる為に、
特に女性の欠点を説いて戒められているのです。

ブッダの説かれた男女平等

世界中のほとんどの宗教が男尊女卑の考え方をし、
仏教が説かれた当時のインドでは、
バラモン教による熾烈なカースト制度の身分差別に加え、
男尊女卑の社会でした。

そんな差別社会にあって、
ブッダは万人の平等を説かれていますから、
もちろん男女平等です。

例えば『六法礼経』には、
夫の妻に対する道の1つに
夫、外出する時は、必ずその妻を敬すべし
などと教えられています。

幸せについての男女平等

特に、本当の幸せになるという点では、
男も女も何の差別もありません。

相応部経典』には、
このように説かれています。

「(真実の)車に乗る人は、男であろうと女であろうと
じつにその
(真実の)車に乗って
涅槃のもとに至るであろう

(『相応部経典』)

こうしてブッダは、
初めは警戒されましたが、
男性の僧侶である比丘(びく)の教団の後に
女性の僧侶である比丘尼(びくに)の教団をつくられ、
女性にも男性と平等の地位を認められています。

仏教は、すべての人が本当の幸せになれる教えなのです。

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