ミッドライフクライシス(中年の危機)

ミッドライフクライシス」とは、人生の中頃、
これが自分の本当に求めていることなのかな?
と自分の生きる意味を問い直さずにいられないことです。
中年の危機」ともいわれ、80%以上の人が経験するといわれます。

そのまま放置すると、自分の人生は無意味ではないかと思えてきます。
そして、人生の終わりまで人生の意味が分からなければ、
臨終にスピリチュアルペインという心の痛みとなって現れます。

どのように対処し、克服すればいいのでしょうか?

ミッドライフクライシスとは?

ミッドライフクライシス」とは、
人生の中頃に、自分の人生を問い直さずにいられなくなる
深刻な心の危機をいいます。

いつ頃やってくるかは人によってまちまちですが、
大体30代後半から、40代、50代にかけてです。
この時期は、人生の中でも一番、能力と経験のバランスのとれた、
人生の最盛期ではないかと思いますが、
多くの人が生きる意味に疑問を感じ、
うつ病や自殺のリスクも高まってくるのです。

これは昔からあることで、14世紀に『神曲』を書いたダンテは、
人生の旅のなかば、正しい道を見失い、私は暗い森をさまよった
と言っています。

心理学者のユングは、中年の危機に早くから注目しており、
アメリカの心理学者、ダニエル・レビンソンによれば、
これは何も特別なことではなく、正常な中年の80%
中年期に大きな危機を迎えると言っています。

男性のミッドライフクライシス

頑張った人であれば、若い頃目指した所に到達してしまい、
仕事でも家庭でも満足しているのに「何かが違う」と感じます。
一生懸命努力して、金も財産も築いたけど、
 人生ってこんなものなのかな?

と妙な虚しさを感じたり、
これが本当に自分の求めていたものなのだろうか?
 もっと他にやりたいことがあるはずだ

と、心のささやきが聞こえます。

あれだけ苦労したのに、手に入ったものにはすぐに慣れてしまい、
思ったほどの幸福感がえられないのです。

それなのに、体力の衰えを感じ始め、
記憶力の低下も自覚されます。

職場では中堅としての責任を果たさねばならず、
いよいよミスは許されません。
年功序列から能力主義ともなれば、体力や記憶力が衰えても、
常に元気な若手との競争が強いられ、ますます苦しくなってゆきます。
いくら限りない向上を要求されても、
もう自分の能力の限界が見えてしまいます。
自分の働ける時間、生きている時間も無限ではないと頭では分かっていたのですが、
この頃、それが実感となって迫ってくるのです。

そんな中、思いがけない事故や病気、お互いの浮気の発覚など、
ますます激しい人生の荒波にもまれながら、
このまま進んで行くと、自分もいつかは死ぬ
という現実に直面させられ、
結局自分は、何のためにこの世に生まれてきたのかな?
という疑問が起きてくるのです。

女性のミッドライフクライシス

それは女性でも同じです。
これまで子供の成長を生き甲斐に頑張ってきたのに、
子供が自立してしまうと、嫁に息子をとられたと感じたり、
心にぽっかり大きな穴が開いた感じがしたりして、
とても寂しくなってしまいます。

空の巣症候群」とまではいかなくても、
一体自分の人生は何だったのだろうか?
という疑問が起きるのです。

ミッドライフクライシスに陥った有名人

ロシアの文豪トルストイも、ミッドライフクライシスに陥りました。

貴族の裕福な家庭に生まれ育ったトルストイは、
34歳のとき18歳のソフィアと結婚して10人以上の子供をもうけます。
30代後半で『戦争と平和』を書き、
40代後半では『アンナ・カレーニナ』を書いて、
当時から世界的な名声を博して順風満帆でした。

ところがこの頃、子供を次々と亡くして、
ふと、人生の終わりがやってくるのは自分も同じだが、
だとすれば「なぜ生きるのだろう?」と考え始めます。

きょうあすにも病気か死が愛する人たちや私の上に訪れれば
(すでにいままでもあったことだが)死臭と蛆虫のほか
何ひとつ残らなくなってしまうのだ。
私の仕事などは、たとえどんなものであろうとすべては
早晩忘れ去られてしまうだろうし、私もなくなってしまうのだ。
とすれば、なにをあくせくすることがあろう?

(トルストイ『懴悔』)

よく、「あなたは何のために生きていますか?」と聞かれると、
自分の得意分野で多くの人に喜ばれるようなライフワークを
答える人があります。

トルストイにとっては、作家の仕事がライフワークでしょうし、
『戦争と平和』も『アンナ・カレーニナ』も、
世界文学史に残る傑作です。
そこまでやっても、まったく喜べないのです。

よくも人間はこれが眼に入らずに生きられるものだ──
これこそまさに驚くべきことではないか!
生に酔いしれている間だけは生きても行けよう、
が、さめてみれば、これらの一切が──ごまかしであり、
それも愚かしいごまかしであることに気づかぬわけにはいかないはずだ!」
(トルストイ『懴悔』)

人生に限りがあり、自分もやがて死んで行くことに
本当に気づいたとき、
すばらしい業績のすべてが光を失って、
どんなにお金があっても、名誉があっても、
何も喜べなくなってしまったのです。

そしてトルストイは、10年ほど著作活動をやめてしまい、
その後初めて書いたのが、この『懺悔』という本です。

ミッドライフクライシスのよくある対処の間違い

よく、ミッドライフクライシスに入った人が、
今まで関心のなかった大型バイクに乗り始めたり、
浮気不倫をしたりすることがあります。

また「今やっていることは自分のやりたいことなのか?
と思って、トルストイのように突然仕事をやめてしまったり、
転職する人もあります。

このように、ミッドライフクライシスに陥った人は、
しばしば、今やっていることをやめて、
何か別のやりたいことをやろうとします。

やりたいことはやればいいのですが、
ミッドライフクライシスへの対処としては、
効果はありません。

やりたいことなら、今までもやってきたはずです。
やりたいことをやっても、心からの満足できないのが、
ミッドライフクライシスなのです。

欲望は無限ですから、どれだけやりたいことをやっても、
喜びは一過性のもので、心からの満足はできず、
解決にはなりません。

トルストイをはじめ、やりたいことで才能を発揮し、
多くの人に喜ばれたにもかかわらず、
人生に満足できない人はたくさんあります。

ミッドライフクライシスの本質は、
本当の生きる目的が分からず、
生きる意味が感じられないことにあります。

だとすれば、本当の生きる目的を知ることで、
ミッドライフクライシスを克服できるのです。

ミッドライフクライシスの克服法

では、本当の生きる目的とは何でしょうか?
それは、目の前にある目先の小さな目標ではありません。
人生これ一つという、人間に生まれた究極の目的です。

その人生全体の目的を知り、達成すれば、
このこと一つのための人生だったのだ
と本当の生きる意味がハッキリ知らされ、
ミッドライフクライシスは完全に克服されます。

では本当の生きる目的とは何かについては、
仏教に教えられているのですが、それは仏教の真髄ですので
小冊子とメール講座にまとめておきました。
一度目を通しておいてください。

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