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生きる意味を、知ろう。

精進とは?

精進しょうじんというと、よく肉を使わない「精進料理」とか、
心身を清めて肉を食べない「精進潔斎しょうじんけっさい
といわれますが、
これらは仏教の言葉ではありません。
精進とはどんなことなのでしょうか?

精進とは肉や魚を食べないこと?精進の意味

精進しょうじん」と聞くと、精進料理を思い出して、
肉や魚を食べないことだと思っている人がたくさんあります。
しかし、それは仏教の本来の意味ではありません。

仏教で「精進」とは、「精」を出して「進」むと書くように、「努力」のことです。
英語でいえば「エフォート(effort)」。
分かりやすい言葉でいいますと、
がんばる」ということです。
仏教の辞典では、このようにあります。

精進
しょうじん[s:vīrya, p:viriya]
精魂をこめてひたすら進むこと。
ごん>とも訳される。
八正道はっしょうどうの第6に正勤(正しい精進)が置かれ、五根ごこん五力ごりきなどに取りあげられて重視され、さらに大乗仏教の実践を説く六波羅蜜ろくはらみつの第4徳目に挙げられている。
本来は、俗縁を絶って潔斎けっさいし、出家入道したのちはひたすら宗教的生活の一途に生きることをいう。
それが民間の在家仏教者にとって、魚虫鳥獣の肉類を食べない意味へと転化した。
また神道へ導入されて、みそぎ・はらえと並んで重要視され、食物上の禁忌ばかりでなく、行為上の禁忌、すなわち穀断こくだち火断ひだち塩断しおだちなどの物忌みまでを含むに至った。
なお、仏事や神事のために期間を限って精進をする場合、その期間が終わって平常の生活にもどることを<精進あけ><精進おち><精進どき>などという。
現在では、<精進落とし>と呼んで、服喪の期間が終わり、菜食本位から解放されて肉食することが許されること、またその時にもてなす料理を意味することが多い。
これに対して、精進中の食物を<精進物>といい、精進あげはそれに用いる揚げ物の意。
なお漢語<精進せいしん>は、物事に詳しく明らかになって仕事につとめ励むこと。

このように精進は、よく肉や魚を食べないことに使われるようになりましたが、本来は、正しい目的に向かって努力することです。

お経に説かれる精進

ブッダはお経に「精進」を繰り返し繰り返し教えられています。
例えば、あらゆるを6つにまとめられた六波羅蜜ろくはらみつの4番目は「精進」ですし、
四聖諦ししょうたいの最後である八正道はっしょうどうでは、6番目が「正精進」です。
六波羅蜜にも八正道にもあげられる
重要な行いが精進なのです。

逆に「怠ける」ことは「懈怠けたい」といいます。

世間でも、会社で怠けて働かずに給料だけ欲しいと思っても無理ですから、
みんな汗水垂らして働くわけですし、
スポーツで練習はせずに優勝したいと思っても無理なので、
みんな必死で練習するのです。
どんな分野であれ、努力精進することは、非常に大切なのです。

ダンマパダ』には、努力に関する章がありますが、怠けていずに、努力すべきであることを、例えばこのように説かれています。

怠りなまけている人々のなかで、ひとりつとめはげみ、眠っている人々のなかで、ひとりよく目醒めている思慮ある人は、疾くはしる馬が、足のろの馬を抜いてかけるようなものである。

また、このようにも説かれています。

奮い起てよ。怠けてはならぬ。
善い行いのことわりを実行せよ。
ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。

また、『中阿含経』には、このように精進が説かれています。

常に精進を行じ、不善を断じて諸の善法を修し。
(漢文:常行精進 斷惡不善 修諸善法)

ブッダがお亡くなりになる時、最後に言われたことも、
怠らず努力するがよい、ということでした。

ブッダは至るところで
必ず努力をしなさい
と教えられているのです。

そして、努力が現実の世界で大きな効果を発揮することは、実例に事欠きません。

努力して成功した実例

売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方良しで有名な
近江(滋賀県)商人は、昔から商売上手で有名です。
ある真夏の日差しが照りつける暑い日に、
一人の近江商人と他国の商人が、
重荷を背負って群馬県と長野県の境にある
碓氷峠うすいとうげにさしかかりました。

他国の商人が
何という長い坂だろう。もう少しこの坂が短ければ楽なんだが、
これではとてもやり切れない。これが商売なんて全く泣きたくなるわい

と愚痴をこぼすと、近江商人は笑いながら
私は、この坂がまだまだ短すぎると思う。
もしもっと長ければ大抵の商人は途中で引き返すでしょう。
その時こそ私は辛棒して思う存分商売しようと思います

と言ったそうです。

人並のことをやっていれば人並の結果しか得られません。
昔から近江商人と言われて成功した人が多くありますが、
人一倍努力精進しなければ成功できないのは当然なのです。
みんなどんぐりの背比べですから、
その中抜きんでるには、他人の2倍3倍努力しなければなりません。

史上最強の柔道家といわれる木村政彦は、まさに
ライバルの3倍努力をモットーとしていたといいます。

努力は嘘をつかない

スポーツの世界に、
努力はをつかない
という格言があります。

ではとにかく努力すれば、必ず勝てるのかというと、そうではありません。
練習量が一番多い人が優勝するとは限らないのです。

トップレベルのアスリートたちは、努力家の人ばかりですから、
試合前になると
今のままで勝てるだろうか
不安になって、
ますます練習して体を壊してしまうこともあるのです。

努力さえすればいいのではないということは、
多くの人が感じていることですが、
では努力しないで優勝した人はあるかというと、
それはまったくありません。

エジソンが、
天才とは99%の努力と1%のひらめきである
と言っているように、成功者は必ず努力しているのです。

実際そのことが、科学的にも明らかになりつつあります。

天才や一流の唯一の共通点

1990年代くらいから、世界中で一流やトップになる人の研究がなされてきました。
みんな、生まれつきの才能か何かがあるはずだと信じていたのですが、
結局、そんなものは何も出てきませんでした。

例えば世界レベルのバイオリニストを輩出するベルリン芸術大学の調査では、
トップの学生は、入学までに7400時間、
優れた学生は5000時間、
普通の学生は3500時間の練習をしていました。

少ない練習時間でトップになっている
生まれつきの天才は見つかっていません。

このように、今のところ、
一流になる要因でただ一つ見つかっているのは、
努力量だけ
です。
しかもそれは圧倒的な努力量ですから、
努力のポイントは「継続」です。

精進で重要なのは継続

ブッダは『仏遺教経ぶつゆいきょうぎょう』に、このように説かれています。

もし勤精進を行せばすなわち事として難き者なし。
この故に汝等まさに勤精進すべし。
たとえば小水の常に流れば則ち能く石をうがつが如し。
(漢文:若勤精進則事無難者 是故汝等當勤精進 譬如小水常流則能穿石)

小水」とは、雨だれの水滴のような小さな水です。
ところが、そんな雨だれの小さな水滴でも、
山門から継続してポタポタ落ちて、下にある石に当たっていると、
やがてその石に穴があくことがあります。

やわらかい水でも、継続することによって
固い石に穴をあけるのです。

ですから、「私は10時間もがんばりました」といっても、
一朝一夕で一流になることはできません。
5年、10年、15年という努力の積み重ねが重要です。

ウサギもなまければカメに負けますが、
カメもたゆまぬ努力を続ければ、ウサギを超えます。

一流やトップになるただ一つのたねまきは、継続した努力だけなのです。

精進の最大のポイント

しかしながら何でもかんでも努力すればいいのではありません。
泥棒やいじめに努力してもみんなが迷惑するだけです。
努力の最大のポイントは、正しい目的に向かって努力することです。

正しい方向に向かわない努力は、仏教では精進とはいいません。
懈怠けたいというのです。

仏教では、お金や財産、地位、名誉、才能や美貌による幸せは、
儚い一時的な幸せで、本当の幸せではないと教えられています。

ブッダは、私たちが本当の幸せになることを目的に仏教を説かれていますので、
仏教を聞いて、その本当の幸せに向かって努力しなさい、ということです。

肉を食べてもいいのです。魚を食べてもいいのです。
好きなものを食べて、精をつけて、
仏教で教えられる本当の幸せに向かって努力しなさい、
ということです。

では、本当の幸せになるにはどうすればいいのかというと、
苦悩の根元を知り、それをなくさなければなりません。
これは仏教の真髄ですので、
電子書籍と無料のメール講座にまとめておきました。
ぜひ読んでみてください。

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この記事を書いた人

長南瑞生

長南瑞生

日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか1人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。たまたまインターネットの技術を導入して爆発的に伝えられるようになり、日本仏教学院を設立。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと今も奮戦している。

仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者4千人、メルマガ読者5万人。X(ツイッター)(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能

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