僧侶は結婚していいの?
日本の僧侶はたいてい結婚しています。
結婚しているばかりか、若いイケメン僧侶は、
「僧職系男子」と言われて、女性に人気です。
確かに何か知的で優しそうなイメージがあり、
結婚したくなるのも頷けます。
ところで、そもそも僧侶は結婚してもいいのでしょうか?
現在の僧侶がみんな結婚している理由
現代日本の僧侶たちは、なぜみんな結婚しているのでしょうか?
その大きな要因の一つとして、明治時代に、神道を国教としようとしていた
政府が「今より僧侶の肉食・妻帯・蓄髪等勝手たるべき事」という布告を出して
仏教の勢力を弱めようとした歴史があります。
それ以来、戒律で結婚を禁じられている宗派でも、
僧侶が結婚するようになったのです。
しかしながら政府から「自由ですよ」と言われて
それに乗っかってしまうようでは、その人たちは、
仏道を求める気持ちがあるのか疑問ですから、
あまり仏教の本質的な問題ではありません。
では、仏教ではどのように教えられているのでしょうか?
仏教では結婚はOK?
お釈迦さまは、
僧侶に250戒、
尼僧に500戒の
戒律を定められています。
戒律というのは、団体の規則のようなもので、
これを守っていないと、僧侶とはいえません。
中でも重要なものに、
「男は女にふれてはならない」
という決まりがあり、それを破れば重大な罪ですから、
結婚などはもってのほかです。
これはとても大事なことで、『首楞厳経』には、このようにも説かれています。
淫を断たずして禅定を修するは、 沙石を蒸して飯となさんと欲するがごとし。
百千劫 をふるもただ熱沙と名くのみ。
(漢文:不斷婬修禪定者 如蒸沙石欲其成飯 經百千劫秖名熱沙)(引用:『首楞厳経』)
性欲をなくさずに修行をしようとしても、
石を焚いてご飯にするより難しい、ということは、
さとりは開けませんので、
僧侶にとって、結婚など論外なのです。
それというのも、仏のさとりを開くには、
煩悩を断ち切らなければならないからです。
これではほとんどの人は、助からないことになってしまいます。
結婚したら助からない?
ところが仏教には、
自力の仏教と他力の仏教の2つあります。
自力の仏教では、自分の力で煩悩をなくして
仏のさとりを目指す教えですから、
結婚していては助かりません。
ところが他力の仏教では、阿弥陀如来の本願力によって、
煩悩ではなく、苦しみの根元を破られて救われる教えですから、
結婚して普通の生活をしている人でも救われます。
ですからある人が、他力の仏教を教えられた法然上人に
この世をどう生きるか質問したとき、以下のように答えられました。
現世を過ぐべきようは、念仏申されんようにに過ぐべし。
(引用:『和語灯録』)
「念仏を申されんように」というのは、
仏教を聞けるように
ということです。
仏教にはなぜ生きるかという
本当の生きる目的が教えられていますから、
どう生きるかという生きる手段は、
本当の生きる目的を知り、それに応じて、
その時その時、選択していけばいいということです。
続けて法然上人は、ズバリこう言われています。
ひじりで申されずば、め(妻)をもうけて申すべし。
妻をもうけて申されずば、ひじりにて申すべし。(引用:『和語灯録』)
「ひじり」とは独身のことです。
独身で仏教を聞けなければ結婚すればいいし、
結婚して仏教を聞けなければ独身で聞けばいいよ、
ということです。
それで、法然上人は結婚されませんでしたが、
法然上人のお弟子の親鸞聖人は、
31歳のときに公然と結婚され、
浄土真宗の僧侶は明治時代の前から結婚しています。
これはなぜかというと、仏教では、
煩悩は確かに私たちを苦しめる原因ですが、
もっと深い、苦しみ悩みの根本原因は、煩悩ではない
と教えられており、
その苦悩の根元をなくせば、
男も女も、僧侶も在家の人も、ありのままで
煩悩即菩提の変わらない幸福になれるからです。
その仏教に説かれる苦しみの根本原因は
電子書籍とメール講座でまとめて解説してあります。
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この記事を書いた人
長南瑞生
日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか1人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。たまたまインターネットの技術を導入して爆発的に伝えられるようになり、日本仏教学院を設立。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと今も奮戦している。
仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者4千人、メルマガ読者5万人。X(ツイッター)(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能。
著作
- 生きる意味109:5万部のベストセラー
- 不安が消えるたったひとつの方法(KADOKAWA出版)