六波羅蜜(ろくはらみつ)

六波羅蜜というと、それにちなんで名づけられた京都の六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)が有名です。
その近くの地名は六波羅と言われるようになり、承久の乱の後には、六波羅探題(ろくはらたんだい)という幕府の出先機関が置かれました。
このように、日本史にも名前が出てくる六波羅蜜というのは一体どんなことなのでしょうか?

仏教を漢字4字でいうと?

仏教の根幹は、因果の道理です。

お釈迦さまの一生涯説かれた教えは、
因果の道理から外れたものはありません。
必ず因果の道理に立脚しています。

根幹が分からないのに、枝葉が分かるということはありませんから、
因果の道理が分からなければ、仏教は一切分かりません。

では、因果の道理とはどんなことかというと、
善因善果
悪因悪果
自因自果

ということです。

善いたねをまけば、幸せ運命が現れる。
悪いたねをまけば、不幸や災難が引きおこされる。
自分のまいたたねは、自分が刈り取らなければならない。
ということです。

この因果の道理の結論は、廃悪修善(はいあくしゅぜん)です。
廃悪修善」とは、をやめて、善いことをしよう、ということです。
因果の道理の結論が廃悪修善になることを、お釈迦さまは『涅槃経』にはこう説かれています。
善因より善果を生ずと知り、悪因より悪果を生ずと知り、
果報を観じおわりて悪因を遠離す
」(涅槃経)
善因善果、悪因悪果ということが知らされれば、その結果を反省して、悪いことをやめて、善いことをしようと思わずにおれないのです。
お釈迦さまの説かれた仏教の根幹は、因果の道理ですから、
仏教は、「廃悪修善」の漢字4字におさまります。

ですから、お釈迦さまは、
「こんなことがですから、こんなことをやりなさい」
と、一生涯にたくさんのを説かれました。
それが、七千余巻のたくさんのお経になったのです。

ですから、お釈迦さまの説かれた一切経には、
たくさんのが説かれています。

ではどんな善をすれば幸せになれるの?

ところが、あまりにたくさんのがあると、
私たちは学ぶ気が起きなかったり、
学ぶ気になっても、学ぶのに時間がかかりすぎて、終わってしまったり、
学んでも、比較検討したり、目移りしているうちに、
結局何もしなくなってしまいます。

ちょうど、服を買いに洋服屋さんに行ったとき、
店に入るなり、広大な売り場に5万着くらい服がずらーっと並んでいると、
その時点でめんどうになってギブアップしたり、
やる気があっても、自分のサイズに合う服がどこにあるか分からなかったり、
何とかたどりついて選び初めても、
もっといいのが他にあるのではないかと探し続けたりして、
結局買わずに閉店時間になってしまいます。

何もせずに人生が終わってしまうのです。

そこで賢い店員さんが、
自分に合う服を3着くらい見繕って持ってきてくれたら、
その中から「じゃあこれにしよう」と買うことができます。

ちょうどそのように、お釈迦さまは、
ありとあらゆるを6つにまとめて、
六波羅蜜
(ろくはらみつ)を教えられました。

苦しみ悩みの人生を渡すには、6つの道がある、
ということです。

京セラやKDDIを創業したり、日本航空をV字回復させた経営者の稲盛和夫氏も、
若手経営者に六波羅蜜を教えて、それが自分の経営哲学と同じだと言います。
お釈迦さまの説かれた『六波羅蜜』という修行の方法についてもみなさんに説きました。
それはまさに、私がいつも話をしてきた、こういう経営哲学をもたなければなりませんということと同じなのです

(稲盛和夫『どう生きるか なぜ生きるか』)

そして、経営者ではない人に対しても、
「(六波羅蜜は)普通の人間が生きるための知恵として、
ぜひ取り入れるべきだと私は信じます
」(稲盛和夫『稲盛和夫の哲学』)
とオススメです。

六波羅蜜とは?

では、六波羅蜜とはどんなものかというと、以下の6つです。

布施(ふせ)……親切
持戒(じかい)……言行一致
忍辱(にんにく)……忍耐
精進(しょうじん)……努力
禅定(ぜんじょう)……反省
智慧(ちえ)……修養

ちなみに、反対もあげて、表にまとめると、以下のようになります。

No 六波羅蜜(六度万行) 意味 反対 意味
1 布施(ふせ) 親切 慳貪(けんどん) けち
2 持戒(じかい) 言行一致 破戒(はかい) 約束を破る
3 忍辱(にんにく) 忍耐 瞋恚(しんに) 短気
4 精進(しょうじん) 努力 懈怠(けたい) なまくら
5 禅定(ぜんじょう) 反省 散乱(さんらん) 落ち着きがない
6 智慧(ちえ) 修養 愚痴(ぐち) ねたみ・そねみ・うらみ

では、この六波羅蜜の反対ばかりやっている人はどんな人でしょうか。
ケチで、いい加減で約束を破り、短気でヒステリック、怠け者で、飽きっぽく、嫉妬深くて人を恨んでいる人です。
そんな人は、みんなから嫌われます。
逆に、この六波羅蜜を実践している人、
因果の道理を信じて、親切で、約束を守り、忍耐強く、努力家で、失敗しても自分を反省する人は、
光る人であり、人気者になるということです。

六波羅蜜の特徴

しかもこの六波羅蜜のすごいところは、どれでも自分にあったものを1つ、
一生懸命やれば、6つ全部やったことになります。
一気に全部やろうとすると大変ですので、
自分にあうものからやってみましょう。
特に、六波羅蜜の最初にあげられる「布施」は
最も功徳が大きいですのでオススメです。

因果の道理が分かれば分かるほど、
仏教を深く信じれば信じるほど、
廃悪修善の心が強くなってきます。

そして、一番大事なのは実行です。
実行しなければ結果は現れませんから、
今日からやってみましょう。

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