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日蓮宗とは

日蓮宗は、日蓮大聖人の開いた宗派です。
極めて独創的な教えですが、
日蓮宗の本尊やお経や教えは、どんなものなのでしょうか?

日蓮宗とは?

日蓮宗とは、簡単に説明すると、このような宗派です。

日蓮宗は、鎌倉時代、幕府に「国難を救うためには『法華経』を信じよ」と訴えた日蓮を宗祖としています。
そして、人々に「南無妙法華経」という言葉(題目)を繰り返しとなえることで、この世で誰もが幸せに生きられると説いています。
(中略)
来世での救済ではなく、〝現世利益〟をうたっているのが特徴です。

一般的にはこのように知られていますが、日蓮宗とはどんな宗派なのか、より詳しく解説していきます。

日蓮宗の教え

日蓮宗の教えを分かりやすく言えば、
題目を唱えれば、即身成仏できるというものです。
即身成仏とは、生きている時に仏のさとりをひらくことです。
これを「唱題成仏」といいます。

題目」とは、
法華経』を表す『妙法蓮華経』に
帰依を意味する「南無」をつけた
南無妙法蓮華経」のことです。

天台宗に教えられる一念三千は、
観法の修行によって体得しなければなりません。
お釈迦さまが亡くなってから1500年以上が経った
末法の時代になると、そのような難解なことは、
誰もできなくなります。

この天台宗の一念三千を「理の一念三千」と名づけ、
題目を唱えることを「事の一念三千」として、
この事の一念三千によって、題目を唱えている人にお釈迦さまの功徳が
自然に譲り与えられて成仏できるという教えです。

ただし、単に『妙法蓮華経』に帰依するだけでなく、
妙法蓮華経の5字に、
すでに果てしない過去に成仏されていたお釈迦さま
修行の功徳と、仏のさとりが備わっていると信じて
帰依しなければなりません。
また、体も口も帰依が必要です。
中でも特に信心を強調します。

そして題目を唱えれば、悪人でも成仏すると説き、
即身成仏すれば、その人のいるところが
常寂光土になると教えています。

日蓮宗の特徴的・独創的なところ

まず、日蓮宗の極めて独創的なところは、
教えの根拠が、お釈迦さまの説かれた一切経に
存在しないこと
です。

お釈迦様が説かれていないことは、仏教ではありませんのでどういうことなのか詳しく説明します。

日蓮宗が仏教ではないと言われる理由

仏教とは、お釈迦さまが35才で仏のさとりを開かれて、
80才でお亡くなりになられるまでの45年間
説かれた教えを仏教といいます。

そのお釈迦さまの説かれたすべてのお経を一切経と言われ、
その数は七千余巻といわれます。
ところがそれががあまりにも多いために、
その理解の違いによって、仏教は色々な宗派に分かれています。

ですからもし仏教の宗派であれば、
お釈迦さまの説かれた経典上に根拠がなければなりません。
ところが、お釈迦さまが「題目を唱えれば成仏できる
と説かれたお経は存在せず、それどころか
南無妙法蓮華経」さえも、
一切経に一回も出てこない言葉です。

やはりそれはさすがにまずいという自覚があるためか、
南無妙法蓮華経」という言葉は、
法華経』の寿量品という章の文章の底に秘められている

と日蓮は教えています。
これを「文底秘沈(もんていひちん)」といいます。
つまり文章上にはどこにもありません。

文底秘沈」などと言い出せば、
何でもありですから、
好きなことを言えるようになってしまいます。
南無阿弥陀仏」であれば、一切経に何回も説かれているのですが、
南無妙法蓮華経」となると、一切経のどこを探しても存在しないということが
日蓮自身も分かっているのです。

このように、日蓮宗の教義は、
32才頃の日蓮が新しく考えた
まったくの独創によるものです。

だから今日「日蓮宗は仏教ではない」とまで批判されているのです。

日蓮宗の重要な教義(日蓮宗のお経)

日蓮は、40才を過ぎると、
仏教のあらゆる宗派を否定するようになります。
これを四ヵ格言と言い、
念仏無間(ねんぶつむけん)
 禅天魔(ぜんてんま)
 真言亡国(しんごんぼうこく)
 律国賊(りつこくぞく)」
の四つです。

念仏無間」とは、浄土真宗浄土宗で勧められる念仏
無間地獄に堕ちるたねまきだ。
禅天魔」とは、禅宗は天の魔物だ。
真言亡国」とは、真言宗は国を亡ぼす。
律国賊」とは、お釈迦さま戒律を守る律宗は国賊だ、
ということです。

これは単に、他の宗派をやめて
法華経』へ帰依するように勧めているのでしょうか?

そうではありません。
50才を過ぎて、弘安元年に書いた「上野殿御返事」という手紙には
日蓮宗の教学上、非常に重要で、
日蓮宗の人なら多くの人が知っている言葉が書かれています。

それが
今末法に入りぬれば余経も法華経もせんなし、但南無妙法蓮華経なるべし
です。

余経も法華経もせんなし」とは、
法華経も、それ以外のお経も助からない、ということですから、
法華経以外の宗派はもちろん、
法華経も含めたすべての仏教の宗派を否定して、
お釈迦さまの説かれたお経のどこにもない題目を勧めています。

ですから、日蓮宗のお経は、『法華経』のようでいて、
法華経』でもなく、一切経の中に拠り所となるお経は一つもありません。

このように、日蓮宗について知れば知るほど、
仏教から逸脱していることが分かります。
全仏教を否定していながら、仏教といえるのでしょうか?

日蓮宗と日蓮正宗の違い(日蓮宗の本尊)

日蓮宗の本尊は、十界曼荼羅です。
法華経』の「虚空会の儀式」を文字による曼荼羅で表現しています。

ところで日蓮は、もともと
私は上行菩薩生まれ変わりである
と自分で言っています。
上行菩薩とは、本仏釈尊によって久遠最初に教えを受けて
菩提心をおこさせられた、お釈迦さまの弟子です。

ところが日蓮宗の一派である「日蓮正宗にちれんしょうしゅう」では、
お釈迦さまではなく、日蓮が本仏だと主張しています。
本仏」とは、根本の仏ということで、
日蓮のほうが、お釈迦さまよりも偉いということです。

このようなことは、日蓮宗の中でも、日蓮正宗と、
日蓮正宗から破門されて分かれた創価学会が言うことです。
そのことからこの2つは、日蓮を日蓮大聖人と呼んでいます。

ここまで行くと、なぜ仏教を名乗れるのでしょうか?

そのため、仏教を信奉する者から日蓮宗が嫌われたり、
「仏教ではないことを堂々と言いふらすなんて怖い」
と思われても仕方がないことでしょう。

もちろんこのような日蓮宗の教えは、
お釈迦さまの説かれていないことですから、
今日まで題目を唱えて即身成仏できた人は一人もいません。

新興宗教の開祖で仏のさとりを開いたと主張する人は多くありますが、
釈迦の前に仏なし 釈迦の後に仏なし」といわれるように、
自他共に認める仏は、地球上でお釈迦さまただ一人です。

では、お釈迦さまの説かれた『法華経』には、
本当はどんなことが教えられているのでしょうか?

法華経の本当の教えとは

法華経について詳しくは下記をご覧ください。
法華経全文を貫く内容・要約と意味をわかりやすく解説
以下では法華経の重要な内容を説明します。

法華経』には、すべての人が救われると説かれているのですが、
自力の教えですから、やはり大変な難行を非常に長い期間行う必要があり、
難信難解第一」と説かれています。

ですから『法華経』には、このように説かれています。

この法華経は深智の為に説く、浅識はこれを聞いて迷惑して悟らず、
 一切の声聞及び辟支仏は、この経の中においては、力及ばざるなり。

現代人の私たちよりもはるかにすぐれた声聞や縁覚のような人でも、
法華経では力及ばないということです。

また、こうも説かれています。

無智の人の中に於てはこの経を説くことなかれ、
もし利根にして智慧明らかに多聞強識にして仏道を求むる者あらば、
かくの如き人の為に説くべし。

過去世にすでに長期間修行を積んできた智慧利根の人のためのお経なのです。

ですから、『法華経』には、
その教えを実践する人が守らなければならない
3つの規則として、室・衣・座が説かれています。

」とは一切の人々に大慈悲をもって接すること。
」とはどんなに苦しいことでも笑って忍ぶこと。
」とは一切のものに対する執着を断つこと。
この3つを守り続けることができるでしょうか?

そのため、『法華経』の嘱累品という章には、こう説かれています。

もし衆生あって信受せざらん者には、まさに如来の余の深法の中に於て示教利喜すべし。

これは、『法華経』を信じられない者には、如来の他の深法を教えよ、ということです。

お釈迦さまは『法華経』の他にもう一つ深法を説かれ、
そこには、どんな人でも苦悩の根元を断ち切られて
生きているときに本当の幸せになれる道を説かれているのです。

その、もう一つの深法に説かれる
私たちの苦悩の根元と断ち切る方法については、
以下のメール講座と電子書籍にまとめておきました。
今すぐ読んでみてください。

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この記事を書いた人

長南瑞生

長南瑞生

日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか一人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。インターネットの技術を導入して日本仏教学院を設立。著書2冊。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと奮戦している。

仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者3千人、メルマガ読者5万人。ツイッター(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能

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