仏教の宗派の違い(教え)
仏教の宗派の違い(教え)
仏教には、色々な宗派がありますが、どんな違いがあるのでしょうか。
まず、現在も残っている主要な7つの宗派を人数順に表にしてみました。
宗派 | 本尊 | 経典 | 本山 | 人数 |
---|---|---|---|---|
浄土真宗 | 阿弥陀如来 | 浄土三部経 | 本願寺 | 1174万人 |
浄土宗 | 阿弥陀如来 | 浄土三部経 | 知恩院 | 630万人 |
真言宗 | 大日如来 | 大日経 | 高野山 | 906万人 |
禅宗 | 釈迦仏 | 不立文字 | 永平寺等 | 484万人 |
天台宗 | 釈迦仏 | 法華経 | 比叡山 | 304万人 |
法相宗 | 弥勒菩薩 | 解深密経 | 薬師寺 | 52万人 |
華厳宗 | 毘盧遮那仏 | 華厳経 | 東大寺 | 4万人 |
人数のデータは、文化庁の平成26年12月31日の
「宗教統計調査結果」によります。
仏教の宗派がたくさんある理由
仏教とは、約2600年前、インドで活躍されたお釈迦さまが、
35歳で仏のさとりを開かれてから、
80歳でお亡くなりなるまでの
45年間説かれた教えを、
今日、仏教といいます。
その教えのすべては、
たくさんのお経として書き残されています。
これを一切経といわれ、七千余巻にのぼる
たくさんのお経があります。
そのお経をどのように分類整理するかによって
たくさんの宗派が分かれています。
それぞれの宗派の一切経七千余巻の理解の仕方について詳しくは以下をご覧ください。
⇒仏教の宗派とは
では、それぞれの宗派はどのような教えを持っているのでしょうか。
華厳宗
華厳宗の教えを一言でいうと、
「法界縁起」です。
華厳宗では、華厳経を仏のさとりそのものが説かれたお経として
最も重要だと考えます。
その内容が、すべてのものが、
「重々無尽」の因果の道理によって、
生じているという「法界縁起」です。
修行の方法は、
教えを学ぶことと観法は区別されるものではないとして、
学問を重視しますが、
縁起観とか性起観などの観法もあります。
華厳宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒華厳宗の教え・奈良公園の東大寺の教えの秘密を公開
法相宗
法相宗の教えを一言でいうと、
「五位百法」です。
法相宗は、この世のすべてのすがたを
明らかにしてさとりを開こうとする教えです。
そのとき、すべては、五つのカテゴリーの百の要素から、
因果の道理に従って生じていると分析しています。
しかもこの世のすべては阿頼耶識という自分の心が生みだしているという、
「唯識」という、仏教の心理学のようなものを教えています。
これは仏教の基礎理論として、昔の僧侶は必ず学びました。
修行の方法として、「五重唯識観」がありますが、
救われるのに三阿僧祇劫かかります。
1劫は4億3200万年、
阿僧祇は10の56乗ですので、
途方もない長期間です。
法相宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
➾法相宗(唯識宗)本山と開祖、その教えとは?
天台宗
天台宗の教えを一言でいうと
「一念三千」です。
「天台宗では、お釈迦さまの説かれた一切経を体系づけ、
法華経こそが最も重要なお経だと考えています。
修行としては、究極の真理は1つのはずなので、
三方面からみた真理を、同時に心に観じてさとりを得ようとします。
これを「一心三観」といいます。
「一心三観」をベースに教えられる『摩訶止観』にある観法
「一念三千」とは、
「三千」とは、すべての現象のことです。
「一念」というのは、一瞬の心のことですから、
「一念三千」とは、自分の一瞬の心に、
ありとあらゆる現象がそなわっていると
実証することをいいます。
天台宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒天台宗の本山と開祖、その教えとは?
(尚、法華経を重視する日蓮宗というものもありますが、
開祖の日蓮は、「余経も法華経も詮なし」(法華経もそれ以外のお経も助からない)
と主張して、一切経に説かれていない題目を勧めていますので、
現在では仏教とは考えられていません)
禅宗
禅とは精神統一のことで、立ちながらの立禅や、
歩きながらの歩行禅などありますが、座りながらの
座禅が多く用いられます。
禅宗では、「教外別伝 不立文字」、
文字を使わず、教えのほかに伝えると言って、
拠り所となる経典を定めません。
「釈迦何する者ぞ」という僧侶さえもあります。
そして問答を繰り返すなどして
師匠の僧侶から弟子に徹底的に教育します。
また、曹洞宗では、
ただひたすら座禅をすることが、
そのまま悟りのあらわれる姿だ
としています。
黄檗宗では、禅と念仏の融合を説いて
禅浄一味と呼んでいます。
禅宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒禅宗(臨済宗や曹洞宗)の本山と開祖、その教えとは?
真言宗
真言宗は、一言でいうと「即身成仏」の
理論と方法を教えたものです。
真言宗では、密教が他の教えよりもすぐれているとしています。
密教の密は、隠しごとというより、深いという意味です。
密教では、悟りを得るのに「三蜜加持」を行います。
「三密加持」とは、大日如来の心と口と身体の三蜜といい、
衆生も如来と同じ心になり、
如来の言葉(真言)を言い、手に如来と同じ因を結べば、
如来の力が衆生に加えられるといいます。
その力で衆生の三蜜が力を増し、増幅されていって
如来と衆生が一体になるとして、
これを「即身成仏」と言っています。
ちなみに「曼荼羅」とは、大日経や金剛頂経に説かれる
大日如来の徳を、絵に表したものです。
真言宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒真言宗・密教の秘密三部経と、空海の秘密の教えとは?
浄土宗
法然上人の開かれた浄土宗の教えは、
一言でいうと、他力の念仏で救われるという教えです。
ところが現在の浄土宗は、
法然上人の弟子の弁長が開いた浄土宗鎮西派という宗派です。
他力念仏で救われると教えられた法然上人の教えとは異なり、
念仏でも諸善でも救われると教え、自力が混じっています。
浄土宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒浄土宗の教え・末法の悪人も他力念仏1回で救う究極の救済力
浄土真宗
浄土真宗の教えを一言でいうと、
他力の信心一つで救われるという教えです。
それは、法然上人の教えられた他力の念仏とは、
他力の信心を獲得した後に称える念仏のことだからです。
浄土真宗では、一切経の中でも「すべての人を救う」と誓われた
阿弥陀仏のことが集中的に説かれている
大無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経の3つを重視します。
これを「浄土三部経」といいます。
その浄土三部経に説かれるように、
どんな人でも、阿弥陀仏の本願を聞いて、
自力を捨てて他力に帰すれば
煩悩あるがままで苦しみの根元を断ち切られ、
生きているときに変わらない幸せになれる
と教えられています。
浄土真宗の詳しい教えについては、以下をご覧ください。
⇒浄土真宗のお経と教え・悪人を瞬時に救う究極の救済力の秘密
このように、仏教は様々な宗派に分かれていますが、仏教に明らかにされた苦しみの根元は一つです。
では、苦しみの根元とは何か、
どうすれば生きているときにそれを断ち切られるのか、
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この記事を書いた人

長南瑞生
仏教が好きで、東大教養学部で量子統計力学を学んだものの卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とかみなさんに知って頂こうと失敗ばかり10年。やがてインターネットの技術を導入して日本仏教アソシエーション(株)を設立。著書2冊。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと奮戦している。
仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者3千人、メルマガ読者5万人。ツイッター(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能。
著作
- 生きる意味109:5万部のベストセラー
- 不安が消えるたったひとつの方法(KADOKAWA出版)