三宝とは?
「三宝」とは、聖徳太子が「十七条憲法」に「篤く三宝を敬え」と言われている「三宝」です。
もともと三宝は、仏教の言葉なのですが、日本人は、一体何を敬うべきなのでしょうか?
宝とは?
お釈迦さまは、仏教の信者になるには、
「三宝に帰依しなさい」と教えられています。
ですから「三宝」に帰依すると、仏教の信者になれます。
では「三宝」とは何かというと、3つの宝ということです。
「宝」とは、幸せにする働きのあるものです。
あなたは何を宝としていますか?
それは、あなたを幸せにするもののはずです。
子供を宝としている人は、子供が自分を幸せにしてくれると思っています。
お金を宝と思う人は、お金が自分を幸せにしてくれると思っています。
人は、それが宝だと思えば大切にしますが、それが自分を幸せにしてくれる宝だと気づかなければ、せっかく宝の山に入っても、手ぶらで帰ってきてしまいます。
そのため聖徳太子は、日本で最初の憲法である
「十七条憲法」の2番目に、このように制定されています。
篤く三宝を敬え。
三宝は仏・法・僧なり、すなわち四生の終帰・万国の極宗なり。
何の世・何の人かこの法を貴ばざる。
それ三宝に帰せずしては何を以てかまがれるを直らせん。(十七条憲法)
「篤く三宝を敬え」とは、この世には、私たちを幸せにする3つの宝があるから、この3つの宝を大切にしなさい、尊びなさい、ということです。
三宝とは何かというと、聖徳太子は次に、
「三宝は仏・法・僧なり」と教えられています。
三宝は仏・法・僧なり
3つの宝というのは、
「仏宝」と「法宝」と「僧宝」の3つだと
聖徳太子は教えられています。
「仏宝」とは、仏という宝、仏というのはお釈迦さまのことです。
約2600年前、インドでご活躍になられたお釈迦さまは、
35歳で仏というさとりを開かれて、
80歳でお亡くなりになるまでの45年間
すべての人が本当の幸せになれる道を説いて行かれました。
そのお釈迦さまを仏といわれます。
ですから仏というのは、教えを説かれた方です。
教えを説かれた方がおられなければ、私たちは本当の幸せになる道を知ることができませんから、仏さまは宝です。
次の「法宝」とは、法という宝、法とは三世十方を貫くものです。
三世十方を貫くとは、いつでもどこでも変わらないということです。
仏の説かれた教えは、いつでもどこでも、すべての人が本当の幸せになれる教えですから宝です。
最後の「僧宝」とは、僧を宝と言われています。
僧とは、仏教を正しく伝える人のことです。
僧といえば人ですが、なぜ煩悩の塊である人間を宝だと言われているのでしょうか。
それは、仏の教えを伝える人がいなければ、仏教は伝わらないからです。
仏教を伝える以上に人を幸せにすることはありませんから、正しく仏法を伝える僧は宝です。
ですから、僧といっても、袈裟をかけて数珠を持ってさえいれば、僧というわけではありません。
寺に住んで葬式や法事をすれば僧というわけでもありません。
見た目や形ではなく、仏教を正しく伝える人を僧といい、それをする人を宝だと言われているのです。
このように、三宝というのは、3つに分けられていますが、仏教のことを三宝と言われているのです。
ですから聖徳太子は次に
「すなわち四生の終帰・万国の極宗なり」
と言われています。
古今東西の全人類が救われる唯一究極の教え
「四生」とは、生きとし生けるものの生まれ方を4通りで教えられたもので、
「胎生」「卵生」「湿生」「化生」の4つです。
「胎生」とは、人間とか牛や馬のように、お母さんのお腹の中で育って生まれるものです。
「卵生」とは、鳥や蛇のように卵から生まれるもの、
「湿生」とは、ウジ虫のように、湿ったところから湧いて出るものです。
「化生」とはこつねんと生まれるもので、天上界や地獄界、餓鬼界はこのように生まれます。
極楽に生まれるときも、蓮華化生という生まれ方をします。
「終帰」とは、最後のよりどころ、ということです。
生きとし生けるものすべては、最後仏教によらなければ助かりませんので、聖徳太子は「四生の終帰」と言われています。
「万国の極宗」の「万国」とは、世界中のあらゆる国々のことです。
世界中の色々な国に、たくさんの宗教がありますが、そのすべての宗教の中でも究極の教えであると言われたのが「万国の極宗」です。
聖徳太子はこのように、仏教こそ「四生の終帰」であり、「万国の極宗」である、古今東西の全人類が救われるただ1つの究極の教えなのだと言われているのです。
仏教を求めるときに大切な心がけ
ですから聖徳太子は、
「いづれの世いづれの人かこの法を貴ばざる」
と断言されています。
いつの時代のどこの国の人でも、仏教を尊ばずにはいられないのだということです。
これは『大無量寿経』には、阿弥陀仏がまだ仏のさとりを開かれる前、法蔵菩薩として修行しておられたとき、
「三宝を恭敬」して身に福徳をえられたと教えられています。
「恭敬」とは、敬うということで、私たちが仏法を求めるときも大切な心がけです。
三宝を敬う心が強いほど早く幸せになれます。
ですからお釈迦さまは、『般舟三昧経』にこう説かれています。
自ら仏に帰命し、法に帰命し、比丘僧に帰命せよ。
(引用:『 般舟三昧経』)
本当の幸せになる方法
聖徳太子はさらに
「三宝に帰せずしては何を以てかまがれるを直らせん」
と言われています。
仏教を信じなければ、何によって今まで気づいていなかった深い迷いを知らされ、本当の幸せになることができるだろうか、ということです。
この世の宝は、一時的に幸せにはなれますが、長くは続きません。
たとえ続いたとしても最後、死んで行くときには何のたよりにもならない、儚い幸せです。
唯一、仏教の教えによってのみ、未来永遠の幸せになれるのだ、ということです。
ですから聖徳太子が日本初の憲法に、
「三宝に帰して篤く敬いなさい」と定められたということは、三宝に帰すると、仏教徒になりますから、聖徳太子は、日本人は仏教徒になりなさいと言われているのです。
では仏教にどのようなことが教えられているのか、メール講座と電子書籍に分かりやすくまとめてありますので、今すぐご覧ください。
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この記事を書いた人
長南瑞生
日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか1人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。たまたまインターネットの技術を導入して爆発的に伝えられるようになり、日本仏教学院を設立。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと今も奮戦している。
仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者4千人、メルマガ読者5万人。X(ツイッター)(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能。
著作
- 生きる意味109:5万部のベストセラー
- 不安が消えるたったひとつの方法(KADOKAWA出版)