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生きる意味を、知ろう。

生きる意味は人それぞれ

もしあなたが、生きる意味は人それぞれ、というならば
具体的に思い描いているのは趣味や生きがいではありませんか?

価値が多様化している今日では
一人一人の生き方や趣味は人それぞれです。
たとえば、大学合格とか、英会話をマスターするとか、
スポーツ大会で優勝する、恋人を得る、
安定した就職、マイホームを建てる、
大金持ちになる、ノーベル賞を受賞する
といったものではないでしょうか。

しかしこれらは
とりあえず今はこれを目指す」という人生の通過駅であり、
目標」といわれるものであって、
人生の目的」といわれるものではありません。
これらを成し遂げれば、幸せになれるのでしょうか。

目標を達成すれば幸せになれる?

目標を達成すれば幸せになれるかというと
そんなことはありません。
職業についたら、今度は仕事をしなければなりません。
では、どのくらい仕事をすれば、満足できるのでしょうか。

結果を残すことができれば、一時的には満足できると思いますが、
それで「人間に生まれてよかった、いつ死んでも後悔はない
ということにはなりません。

歴史に名を残すほど、何かを成し遂げた人たちに聞いてみましょう。

著名な人たちの声

ニュートン

あの、古典力学や微分積分学を生み出した巨人・ニュートンは、次のように言っています。

ニュートンニュートン

私は世間からどう見えるか分からないが、私自身にとっては、浜辺で遊んでいる少年のようなものだったと思える。
時折、普通よりなめらかな小石やきれいな貝殻を見つけて気晴らしをしていた。
真理の大海は、すべて未発見のまま、目前に広がっているというのに。

(ニュートン・出典:”Memoirs Of The Life, Writings And Discoveries Of Sir Isaac Newton”)

科学革命にあれだけ大きな足跡を残し、人類の発展に大きく貢献しても、真理の大きさに比べれば、それは大海の前で小石を拾っているようなものだと述懐しています。

ダーウィン

進化論」を発表したダーウィンは、こう言います。

ダーウィンダーウィン

自分が真実の山をすりつぶして、一般法則をしぼりだす機械か何かになったような気がする。
(ダーウィン)

世界に大きな影響を与えたダーウィンも、満足してはいないようです。

ジョン・レノン

ビートルズのリーダー、ジョン・レノンは、このように言っています。

ジョン・レノンジョン・レノン

ビートルズは、欲しいだけの金を儲け、好きなだけの名誉を得て、何もないことを知った。
(ジョン・レノン/出典:『ビートルズ オーラル・ヒストリー』)

ビートルズも、好きなことが評価されて、まだ若いうちに大成功をおさめましたが、何もなかったと言っています。
人それぞれの好きなことをやっても、そんなことは虚しいだけのようです。

アルフィ・コーン

競争の研究で知られるアルフィ・コーンは、こう言っています。

多くのスポーツ選手が、大きな目標を達成したのに、何も得られず幻滅の深い傷を残している。

人それぞれの才能を活かして、大変な努力の末にスポーツの世界で活躍しても、幻滅することが多いといいます。
さらに、若くして大金を手にしたアメリカのスポーツ選手は、かなり高い確率で引退後に破産するようです。

村上春樹

数多くの賞を受賞している人気作家、村上春樹氏は著作の中で、このように記しています。

書くこと自体には効用もないし、それに付随する救いもない。

人それぞれの好きなことを仕事にして生きていくというのは、誰でも出来ることではありませんが、たとえそれを実現したとしても、何の効用もないといいます。

ゲーテ

ドイツの文豪・ゲーテは、このように言っています。

ゲーテゲーテ

自分の人生行路にけちをつけるつもりはさらさらない。
しかし、実際はそれは苦労と仕事以外のなにものでもなかったのだよ。
75年の生涯で、一月でもほんとうに愉快な気持ちで過ごした時などなかったと、いっていい。
たえず石を、繰り返し押し上げようとしながら、永遠に石を転がしていたようなものだった。

(ゲーテ・出典『ゲーテとの対話』)

文学史に名を残し、世界中に翻訳されて評価されている文豪ですら、あまり幸せではなかったといいます。

葛飾北斎

世界的に有名な日本の浮世絵画家、葛飾北斎は
こう言っています。

天があと10年の命を与えてくれたなら真に偉大な画家になれるのだが…。

富嶽三十六景
「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

葛飾北斎といえば、『富嶽三十六景』を描いた浮世絵師です。
写真のなかった時代、あの波の水滴の飛び散る瞬間を捉えた目は、もはや人のものとは思えません。
傍目には十分に偉大な画家ですが、本人としては悔いを残しているようです。
これでは人それぞれの道は、どんなに頑張っても果てしない道のりで、満足することはできません。

ルノワール

印象派の画家、ルノワールは、晩年にリウマチで絵が描けなくなり、このように言っています。

ルノワールルノワール

手足がきかなくなった今になって、大作を描きたいと思うようになった。
ヴェロネーゼや、彼の『カナの婚礼』のことばかり夢みている!
なんて惨めなんだ!

(出典:A・ディステル著、高階秀爾監修、柴田都志子・田邊希久子訳『ルノワール』)

イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
ルノワール作
「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」

ルノワールも葛飾北斎と同じような感想を持ったようです。
しかもルノワールの場合は、自分の好きなことを追求した結果、
老いと病によって、絵を描くのが非常に困難になってしまいました。
自分の道を追求したとしても、やがて自分の最盛期を過ぎれば、だんだん衰えてきて、やがては好きなこともできなくなってしまいます。
好きなことに人生を捧げても、満足できるわけではないのです。


アーヴィング・シンガー

ビジネスの世界に目を転じても見られます。

何もかも順調に、一生懸命やってたき仕事が、突然ばかばかしく、無意味に思えてくる人が多い。

このように、マサチューセッツ工科大学・哲学教授のアーヴィング・シンガーは指摘しています。

人生の目的は、人それぞれだと一般的には考えられています。
100人いれば100通りの人生があると、誰もが思っています。
ところが、そう思って人生をスタートし、
他人から見れば成功している人たちが、 このように最後、かなり同じパターンの言葉を残しています。

アインシュタイン

あれ程のことをやったアインシュタインも、こう言っています。

アインシュタインアインシュタイン

あと3年生きたい。あと3年あれば統一場とういつばの理論が完成できたのに…。
(アインシュタイン)

このように、葛飾北斎と同じ悔いを残しているのです。

同じようなことを言う人が多い理由

これはあまりにワンパターンではないでしょうか。
自分だけに偶然起きたと思うことでも
実は似たようなことが、みんなに起きていることがあります。
自分のことしか知らないだけです。

こういう人生観の人の人生は、実は人それぞれではなく、
ある1つのパターンから出られないのです。
その証拠に、あなたも
「人生の目的は人それぞれ、自分のやりたい夢に向かって生きるんだ!」
と思ってはいないでしょうか。
自分が死ぬ時、満足できそうですか?
あなたもパターンを知らないために、同じパターンにはまっているかもしれません。
自分独自のケースだと思いながら。

それをお釈迦様は、『大無量寿経』に、このように説かれています。

大命だいみょうまさに終らんとして悔懼けくこもごも至る。
(漢文:大命將終悔懼交至)

大命だいみょうまさに終らんとして」とは、臨終に、ということです。
悔懼けく」とは
」とは、これまでの人生に対する後悔、
」とは、死んだらどうなるか分からない、未来に対する恐れということです。

2000年前のローマの思想家、セネカも、このように言っています。

ムダな日々を過ごしてきた。
求めるものが間違っていた。
才能、財産、権力があれば他人は羨むが、わが身には喜びも満足もない。
なぜ心の底から満足できる幸せを求めなかったのか。
後悔のため息ばかりである。

こんなはずではなかった」と、死を前にした時に知らされる
真っ暗な心に驚く、後悔に違いないでしょう。

仏教では、この真っ暗な心こそ、苦悩の根元であり、
その真っ暗な心を破って本当の幸せになることが
生きる目的だと説かれています。

その仏教に説かれる苦悩の根元について、
電子書籍とメール講座にまとめておきました。
ぜひ一度見てみてください。

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この記事を書いた人

長南瑞生

長南瑞生

日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか1人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。たまたまインターネットの技術を導入して爆発的に伝えられるようになり、日本仏教学院を設立。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと今も奮戦している。

仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者4千人、メルマガ読者5万人。X(ツイッター)(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能

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