星占いは本当に当たる?
星占いは大人気です。
恋愛や結婚など、何か不安なことがあると、
星占いをしてもらいたくなります。
また、経営者でも、経営判断に星占いを参考にする人があります。
星占いは、本当に当たるのでしょうか?
星占いとは?
星占いとは、占星術ともいわれます。
世界中にありますが、現代の日本で行われている星占いは、
西洋占星術をもとにしたものが多いです。
西洋占星術の根っこにある考え方は、
人間を小宇宙であるミクロコスモスとして、
大宇宙であるマクロコスモスと類似しているはずだ、
というものです。
それで、大宇宙の星の動きと、
人間の運命は何かの関係があるはずだ、
と考えるのです。
そこで、生年月日や生まれた場所から、
自分が生まれたときの星の位置を割り出し、
それによって、自分の運命を予測しようというのが
星占いの基本的な考え方です。
つまり、生まれた日時や場所によって、
生まれた時点で一生の運命が決まっている
ことになります。
星占いが当たるか実験した織田信長
このような占いは、科学の発達していない時代には、
現代以上に信じられていました。
ところが、戦国時代に活躍した織田信長は、
このような生年月日による占いが当たるかどうか
実験しています。
織田信長は、星占いが当たるかどうか試すために、
領内で自分とまったく生年月日が同じ人を探したのです。
もしその人が自分と同じような人生を歩んでいれば、
星占いはあたりますし、
違う人生を歩んでいれば当たらないことになります。
果たして自分とまったく同じ生年月日の人が見つかり、
織田信長の前に連れてこられました。
ところがその人は、織田信長とまったく違って
極貧の境遇にある人でした。
この結果によって織田信長は、
星占いは当たらないことを証明できた
と喜んだそうです。
NASAが黄道13星座を発表
では、科学の進歩した現代では、星占いはどうなっているでしょうか。
星占いは、太陽の通り道にある12の星座を誕生日に対応させて占いを行います。
これを黄道12星座といいます。
ところが実は、太陽の通り道には13の星座があります。
2016年アメリカ航空宇宙局のNASAも認めています。
その13星座を採用すると、誕生日との対応は以下のようになります。
やぎ座…1月19日~2月15日
みずがめ座…2月16日~3月10日
うお座…3月11日~4月18日
おひつじ座…4月19日~5月13日
おうし座…5月14日~6月20日
ふたご座…6月21日~7月19日
かに座…7月20日~8月10日
しし座…8月11日~9月15日
おとめ座…9月16日~10月29日
てんびん座…10月30日~11月22日
さそり座…11月23日~11月29日
へびつかい座…11月30日~12月17日
いて座…12月18日~1月18日
これによって多くの人の星座は変わるので、知らなかった人は
「今までの占いは何だったんだ」
と思うと思います。
ただしNASAは、星占いも13星座でやらなければならないとは言っていません。
科学的には太陽の通り道にあるのは13星座であって、星座が将来の運命や性格に関係するという科学的な根拠は何もないと言っているだけです。
これが天文学的な見解です。
ではブッダは、星占いについて
どのように教えられているでしょうか?
ブッダの過去世の星占いの物語
ブッダが祇園精舎におられたときのことです。
祇園精舎のあるコーサラ国の首都、舎衛城に住んでいた良家の娘が、
田舎の男と結婚することになり、
結婚の日取りが決まりました。
何日も前から色々な婚礼の準備を整えて
今か今かと待っていたのですが、どれだけ待っても、
その日、約束の人は来ませんでした。
約束を破られた上に、準備したものが無駄になるので、
かねてから娘が結婚したいと言っていた
別の男のところへ嫁いでいきました。
翌日、田舎の男がやってきて、
「娘さんをもらいにきました」
と言いましたが、もう後の祭りでした。
なぜ来なかったのか聞くと、その男は、信頼していた「邪命外道」に、
お祝いするのにその日の星の運行は問題ないか尋ねたところ、
悪いと言われたので日程を変更したのでした。
「邪命外道」というのは、外道とは仏教以外の教えのことで、
邪命外道は、運命は最初からすべて決まっている
という決定論者です。
星占いのように、星を見てその人の運命を教えるのです。
ブッダの弟子達がこの事件の話をしていると、
近くにおられたブッダは、
「そなたがたよ、邪命外道が家族のお祝いの邪魔をしたのは
この世ばかりではない。過去世でも、彼らに対して邪魔をしたのだ」
といわれました。
その昔、ガンジス河の中流のバラナ国の都、バーラナシーの男が、
田舎の娘をお嫁に選んだ。
その男は、結婚の日取りを定めてから、邪命外道に聞いた。
「先生、お祝いごとがあるのですが、この日、星はよろしいでしょうか」
先に日にちを決めてから自分に聞きに来たことに腹を立てた彼は、
お祝いを邪魔してやろうと考え、
「今日は星が悪い、もしお祝いをすると大変な不幸が起こる」
と答えた。
しかし都の男は、それを信じ、日を改めることにした。
ところが田舎の人は、むこ殿が来ないので、
「あの男は自分で日を決めておきながら来ない。
私たちをどうするつもりだろう」
といって、娘を他の人に嫁がせてしまった。
都の男は、翌日やってきて、
「娘さんをください」
と言った。
「お前ら都会もんは、恥知らずだ。
自分で日を決めておきながら迎えに来ない。
もう娘は他の人に与えてしまった」
「星がよくないといわれたから来なかったのです。
どうか娘さんをお嫁にください」
と願うが、
「もう他人にやってしまった娘を
どうして取りもどすことができよう」
と言い争いになったのだ。
そこへちょうど用事で来ていた都会の博士が
「星がよくないと言われたから来なかった」
という話を聞いて、
「星によってどんな幸せがあるか。
娘さんをお嫁にもらうということは、
星がよいのではないか」
と言って、このような詩を歌った。
星を眺めて吉凶を占う
愚人に幸福は来らず
幸福はそのまま幸福の星なり
星何をかなさん
ブッダは、
「そなたがたよ、その時の邪命外道は、今の邪命外道である。
その時の家族も、今の家族である。
詩を歌った博士こそは過去世の私であった」
と説かれました。
このように、ブッダは、
星占いをする愚か者には幸せは来ない、
幸せこそが幸せの星なのだ、
星は何もしない、
と教えられています。
これは『本生経』に説かれるエピソードですが、
星占いにはついては、お経にも色々説かれています。
星占いに対するブッダのお言葉
たとえば『涅槃経』にはこのように説かれています。
諸仏世尊は、もろもろの衆生において
種姓、老少、中年、貧富、時節、日月、星宿、
工巧、下賤、僮僕、婢使をみそなわさず。
ただ衆生の善心あるものをみそなわす。
(漢文:諸佛世尊 於諸衆生 不觀種姓老少中年貧富時節日月星宿工巧下賤僮僕婢使 惟觀衆生有善心者)(引用:『涅槃経』)
この「星宿」が星座、
「みそなわす」とは、ご覧になるということですから、
仏のさとりを開かれた尊い方は、人々の家柄や、
年齢や、金持ちか貧乏か、生年月日や星座、
手仕事をするとか、身分が卑しいとか、召使いだとか、
そういうことはご覧にならず、
ただ善心があるかどうかをご覧になる、
ということです。
他にも、『スッタ・ニパータ』には、
わかりやすくこのように説かれています。
呪術や占夢や占相や、また占星を行うべからず。
(引用:『スッタニパータ』927)
このようにブッダは、
「星占いでは幸せになれないから、
しないようにしようね」
と教えられています。
このような教えもあり、
さらに現代では科学が進歩してきたおかげで、
少しずつ合理的に考えられるようになってきました。
以前はよくテレビで放送されていた星占いも、
最近では廃止になるところが多く、
あまり見られなくなってきています。
では、幸せになるにはどうすればいいのでしょうか?
運命を決めるのは何?
仏教では、私たちの運命を決めるのは、
自らの行いであると教えられています。
善因善果
悪因悪果
自因自果(ブッダ)
これを因果の道理といいます。
善い行いをすれば、幸せな運命が来る、
悪い行いをすれば、不幸や災難が来る、
自分のまいた種は、自分が刈り取らなければならない、
という因果応報が教えられています。
ですから、生年月日にかかわらず、
善を行わなければ幸せになれませんし、
善を行えば、幸せになれのです。
さらに仏教では、苦しみ悩みの根本原因を解決して、
本当の幸せになる方法も教えられています。
それについては仏教の真髄なので、
電子書籍とメール講座にまとめてあります。
一度見ておいてください。
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この記事を書いた人
長南瑞生
日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか1人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。たまたまインターネットの技術を導入して爆発的に伝えられるようになり、日本仏教学院を設立。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと今も奮戦している。
仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者4千人、メルマガ読者5万人。X(ツイッター)(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能。
著作
- 生きる意味109:5万部のベストセラー
- 不安が消えるたったひとつの方法(KADOKAWA出版)