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五月病の原因と治し方

五月病とは、五月頃にやる気が起きなくなることです。
ひどくなると学生なら留年したり、社会人でも会社にいけなくなり、
うつや自殺のリスクも高まってくる可能性があります。

一体五月病の正体とは何なのでしょうか?
その原因と対策を解明していきます。

五月病の症状は?

五月病とは、五月頃にやる気が起きなくなることをいいます。
五月のゴールデンウィーク明けに感じることが多いですが、
何も五月には限りません。

その中心的な症状は、モチベーションが起きなくなることです。

学校や会社へも行きたくなるのはもちろん、
何をするにも、何かやる気が起きなくなります。

特に一番やる気が起きなくなるのは、
学生なら勉強、社会人なら仕事です。
ボーッとマンガを読んだり、テレビを見たり、
どうでもいいことはできますが、
やらなければならないと思うことは
できなくなります。

何かやったとしても、
だから何?」と思うと虚しい感じがして、
もう何もかもどうでもよくなったりします。

これは、将来に深刻な不安を感じるわけでもなければ、
気分が落ち込んでしまうわけでもないのですが、
気力が起きなくなります。

肉体的には、眠れなくなるとか、食欲がなくなる
ということではありませんが、
場合によっては全身の力が抜けて、
何事も億劫に感じ、
動くのにすごく力が必要になったりします。

それでも何かしなければならない感じはするので、
妙に焦ったり、どうしたらいいのかと
治し方が知りたくなります。

五月病は、ひどくなると学生なら留年したり、
卒業前なら卒業しても就職浪人したりしてしまいます。
社会人なら会社にいけなくなり、
仕事をやめたり、妙な生きがいに走ってしまいます。

ではどんな人が五月病になりやすいのでしょうか?

五月病になりやすい人

五月病になりやすいのは、
努力家で、真面目な人、几帳面な人です。
逆にずぼらな人やいい加減な人、
もともと無気力な人は、
五月になっても特に変化は起きません。

普段は、やる気も責任感もある人が、
ある日突然、やる気を失ってしまうのです。

ですから「五月病」は「」とついていますが、
病気ではありません。いたって正常な、
どちらかといえばすぐれた人に多い症状です。

そして性別でいえば、男女とも五月病になりますが、
どちらかというと男性に多くあります。

そして、会社なら新入社員、
学校なら新入生がなりやすい
といわれますが、新人に限らず、
誰でもなる可能性があります。

病院にいっても、医学的に五月病という病名はありません。
適応障害」とか
うつ病
パーソナリティー障害
発達障害
パニック障害
など、まったく違う病名をつけられ、
病気にされてしまいます。

五月病は病気ではないので、
医学では対応不能なのです。

五月病が生まれたのは東大

五月病が問題になってきた発端は、
1968年の全共闘運動という学生運動の数年前にさかのぼります。

当時、なぜか大学の留年率が高まってきたことが
教育関係者の間で話題になったりしていました。

そして1968年、東大から始まった学生運動が
全国へ広がり、学生たちが激しく機動隊と激突しました。

ところがそんな威勢のいい学生がたくさんいる中、
無気力な学生たちもたくさん存在していたのです。

それらの学生たちは、初めから無気力だったのではありません。
当時は大学進学率は10%程度で、
大学に進学するだけでエリートです。

中でもその留年している学生たちは、
ほとんどの場合、過去に輝かしい経歴を持っているのですが、
1年2年、3年……と何年もの留年を続けるのです。

かといって、その状態を抜けだそうという
積極的な努力は見られません。
やがて退学したり、学費の未納で大学から除籍になります。

このような、学生運動の最盛期にもかかわらず、
真面目で努力家の学生が、無気力になってしまうことを
五月病」といわれるようになりました。

それが一時、流行語にもなり、
学生運動がおさまってからも五月病は続き、
今ではそれが学生だけでなく、
社会人にも使われるようになっているのです。

五月病の原因

五月病は、現在では適応障害と混同されたりしていますので、
新しい環境になじめないストレスから起きると言われますが、
本来はそうではありません。

ですから適応障害だと思って、
ストレスを減らすとか、
気分転換をしてみても、
五月病の無気力状態を脱することはできません。
それで治った場合は、時間が経って自然治癒しただけです。

五月病が起きるのはなぜかというと、
大学受験を終えた学生が、
今までの目標がなくなり、虚しいと感じるからです。

受験時代は大学合格という目標に向かって、
長期間の高いストレス環境で、
ライバルとの熾烈な競争を戦い抜きます。

やがて努力が実り、ついに合格すると、
しばらくは喜べます。

そして入学式を終えて4月の間は、
サークルの新歓コンパでお祭り気分ですが、
ゴールデンウィークも明けると一段落して、
また高校時代と同じような
つまらない授業に出る毎日が始まります。

それは思い描いていた夢のキャンパスライフはなく、
人間関係はむしろ高校時代よりも希薄になります。
受験戦争で苦労した割には喜びは少なく、
こんなことのためにあんなに努力する必要あったのかな
虚しくなってくるのです。

今までは大学合格が最大の目標だったのですが、
これから先は何を目指せばいいのか、
目標を見失ってしまいます。

それで、この先どこへ向かって
生きて行けばいいのかわからなくなり、
やる気がおきなくなるのです。

このような目的を見失い、
虚しさを感じている学生は多く、
スチューデント・アパシー
ともいいます。

その悩みは、五月頃よりも、
夏休みが終わった10月、
1年生より、2年生と時間が経つにつれ
どんどん深刻になってゆきます。

これは新入社員にも起きることですし、
新入社員ばかりでなく、
ある程度、思い描いていた夢を達成してしまい、
中年になった人でも、この先生きて行く方向性を見失い、
五月病からミッドライフクライシスに入る人もあります。

そして、今度は本当のうつ病になってしまったり、
ひどくなると生きることに価値が感じられず、
自殺する可能性まで出てきてしまうのです。

五月病の治し方

このように、五月病は、2つの原因から起きます。
それは、この2つです。

五月病の2つの原因
  1. これまでの努力虚しさ
  2. これから生きて行く目標の喪失

この2つはつながっていて、
今までの努力に意味を感じないから、
この先も何をやっても同じなのではないか、
虚しくなって、気力が失われてしまうのです。

ですから、これを克服するには、
これ一つ果たしたならば、
人間に生まれてよかった
と喜べる、本当の生きる目的を知ればいいのです。

その本当の生きる目的に向かって生きるとき、
勉強も仕事も健康管理もこのためだ、
とすべての行為が意味を持ち、
心から充実した人生になります。

ドイツの哲学者ニーチェが『道徳の系譜』に、
目的が示されたとなれば、人間は苦悩を欲し、
苦悩を探し求めさえする

と言っているように、
本当の生きる目的がわかれば、
その目的を果たすために
生きる気力が沸いてくるのです。

ではその「人間に生まれてよかった」と喜べる
本当の生きる目的とは何か、については、
仏教の真髄なので、メール講座と、電子書籍にまとめておきました。
一度見ておいてください。

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この記事を書いた人

長南瑞生

長南瑞生

日本仏教学院 学院長
東京大学教養学部卒業
大学では量子統計力学を学び、卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、その底知れない深さと、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とか一人でも多くの人に本物を知って頂こうと、失敗ばかり10年。インターネットの技術を導入して日本仏教学院を設立。著書2冊。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと奮戦している。

仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者3千人、メルマガ読者5万人。ツイッター(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能

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