輪廻転生とは?

輪廻転生りんねてんしょう」という言葉をよく聞きますが、一体どんな意味なのでしょうか?
簡単にいえば輪廻転生の「輪廻」は、輪が回ると書くように、同じ所をぐるぐる回ることです。
転生」は、生まれ変わることですから、
輪廻転生とは、車の輪が回るように、同じところをぐるぐる生まれ変わり死に変わりすることです。

その輪廻転生について、この記事では、
1.科学で分かるのか
2.仏教での輪廻転生
3.輪廻転生する6つの迷いの世界
4.次に転生する世界の決まり方
5.知らないうちに地獄行きが決まる行動
6.次も人間に生まれるための行動
7.輪廻転生の解脱の仕方
という7つの面から詳しく分かりやすく解説します。

1.輪廻転生とは?

輪廻転生を信じている人は、日本人の中でどれ位いるのでしょうか。
アンケートを採ってみたところ、以下のような結果になりました。

このように、日本人の約4人に3人の人は、輪廻転生を信じています。
驚くべきことではないでしょうか。
日本人は、仏縁の深い人ばかりです。

参考までに、輪廻転生について辞書でどう書かれているか見てみましょう。

輪廻
りんね[s][p:saṃsāra]
原語sasraは「流れる」ことから「さまざまな(生存の)状態をさまよう」ことを意味し、生ある者が生死を繰り返すことを指す。<輪廻転生りんねてんしょう><生死しょうじ><生死流転しょうじるてん>などとも訳され、現代インド諸語では「世界」を意味する。輪廻思想は古代ギリシアや古代エジプトにも知られるが、インドではごう思想と結びついて倫理観が深められ、輪廻の状態を脱することが解脱げだつ涅槃ねはんであり、インドの諸宗教に共通する目的となっている。業、解脱。
【インド思想】 ヴェーダの来世観は楽観的で、死後には天上界で神々・祖霊と交わることを願い、悪業によって地獄におちることを恐れていたが、死後他界においても再び死が繰り返されることから、再死を克服し不死を獲得することが説かれるようになった。死者のたどる道は神々(天)・祖霊・地獄の3種に分かれ、この世に再生、5段階の過程をアグニ(火神)への5種の献供になぞられる五火説と神々と祖霊の二つ道と合わせて<五火ごか二道にどう説>と呼ばれる体系的な輪廻思想が後期ブラーフマナから初期ウパニシャッドにいたって整備された。
紀元前6世紀以降、都市の勃興とともにバラモン(婆羅門ばらもん)思想に対抗するさまざまな思想が興ったが、仏典ではジャイナ教を含むこれらの集団を六師外道ろくしげどうとして伝えている。それらの思想は多く苦行主義であり、業・輪廻に対する見解を示していると考えられる。ジャイナ教では世界は霊魂(jīva)と非霊魂(ajīva)からなり、行為によって霊魂に業が流入する。この業身ごっしんが天・にん・畜生・地獄の世界に輪廻する。付着している業の汚れを滅することで解脱し、そのための苦行を重んずる。
【仏教思想】 仏教でも輪廻思想を採用し、人・天・畜生・餓鬼・地獄の五つの輪廻の世界(五道ごどう五趣ごしゅ)を説く。後に大乗仏教では阿修羅あしゅらが加わり、六道(六趣)輪廻として流布し、わが国でも定着している。原始仏教では解脱者の死後の存在や身体と生命の関係に対する解答を無記むきとして退け、解脱のためには無意義な問題とした。しかし、無我むが説において業を担う輪廻の主体を説明することは仏教教理の上で常に問題とされた。
説一切有部せついっさいうぶでは輪廻を十二支縁起(十二因縁)によって説明し(業感ごうかん縁起)、死有しう生有しょううの間に<中有ちゅうう>の存在を認める。これは最大49日間の死者のさまよえる状態であり、中陰ちゅういん法要はこれにもとづく。チベットに伝わる『中有(バルドゥ)における聴聞による大解脱』(〔Bar do thos grol chen mo〕)は『チベットの死者の書』として西洋に紹介され、C. G.ユングによって評価された。

これからもわかるように、輪廻転生は他の宗教でも似たようなことを言われており、仏教も他の宗教も同じだと言う人がいます。
しかし、仏教で教えられる輪廻転生は他の宗教とは全く違うのです。
ここでは「仏教で言われる輪廻転生はなにか」を詳しく説明します。

2.輪廻転生はあるのかないのか科学で分かる?

まず、輪廻転生はあるのかないのか、科学で分かるのでしょうか?

2018年のNHKの世論調査では、死後の世界について
決してないと思う人は、8.4%、
たぶんないと思う人は、25.7%で、
死後がない、つまり輪廻転生はないと考える現代日本人は、約34%でした。

3分の1の人は、輪廻転生はないと考えていることが分かります。
その理由は、心は脳が生みだしているからです。
心は脳神経の電気信号の組み合わせによってできているし、
だから死んだら脳が壊れて無になる、

という考え方です。
ところが、その根拠は科学にはありません。

脳科学では

脳科学の研究からは、
実は心と脳は別のものだということが、
分かってきています。

強迫性障害治療の世界的権威、
ジェフリー・M・シュウォーツ博士はこう言っています。

「脳(の化学的作用)が心に影響を与えている」のではなく、
むしろ、
「心が脳(の化学的作用)に影響を与えている」
(引用:ジェフリー・M・シュウォーツ『心が脳を変える 脳科学と心の力』

哲学では

また、哲学の世界でも、
1990年代になってようやくチャーマーズという哲学者が、
脳の電気信号の集まりがどれだけ複雑になっても、
意識や物が見えたり聞こえたりする体験は絶対に生まれないことを
意識のハードプロブレム」と名付けて問題提起し、
現在でもまったく未解決の問題です。

科学者は、脳の電気信号の集まりが、どうやって意識を生み出すのか未だに知りません。
ですから科学に詳しい人は、科学的には心は脳が生みだしているのだから死んだら無になるとは、言えないのです。

進化生物学では

その上、進化生物学から考えても、意識を生み出すことが、進化の上でどんなメリットがあるかも分かりません。
何かの問題を解決するだけなら、人工知能のような意識のないプログラムのほうが、今や人間以上に上手にできるのです。
植物のように、意識がなくても遺伝子を残して行くことはできますし、意識がないほうが遺伝子を残すために適切に判断ができるかもしれません。
科学では心が生まれた原因も説明できず、心の果たす役割も分かっていないのが現状です。

このように、心さえも分かりませんので、ましてやその心がくり返し生まれ変わる輪廻転生については、科学ではまったく分かりません。

3.仏教で説かれる輪廻転生

このように、科学では、輪廻転生があるかないかの答えは出ず、輪廻転生については未だに分かりません。
というよりも、科学の対象は物質なので、そもそも輪廻転生は科学の対象外です。

そこで、心を専門とする仏教ではどうかというと、お釈迦さまは約2600年前から、仏のさとり智慧によって、このように教えられています。

有情うじょう、輪廻して六道に生まるること、なお、車輪の始終なきがごとし。

有情」とは心ある者ということで、私たちのことです。
私たちは、果てしなく遠い過去から、
永遠の未来に向かって、生まれ変わり死に変わりを繰り返し、
車の輪が回って果てしがないように、同じところをぐるぐる回っているのだ、
ということです。

死んだら終わりなのは、肉体のことであって、仏教では、死んだら終わりではありません。
果てしない遠い過去から続いている永遠の生命があって、肉体が死んだ後も、別の肉体に生まれ変わって、ずっと続いて行くのです。

バラモン教でいわれる輪廻

一方、バラモン教でも輪廻を説くので、仏教はバラモン教の輪廻を取り入れているという人があります。
ですが、バラモン教の輪廻はとても単純です。

ウパニシャッドによれば、人が死ねばアートマン(我)は肉体を捨てます。
そして生前の行いによって、神道と祖道の道に分かれます。
他にも悪人のいく場所もありますが、これを二道説といいます。
そして、神道へおもむけばブラフマンに到達しますが、祖道におもむくと、月へ行って地上に再生します。

どのように再生するかというと、死んだ人は火葬されます。
火葬で煙が立ち上るように、空へ登っていき、
まず1番目に月に至ります。
2番目に雨となって地上に降ります。
3番目に地上で植物になります。
4番目に父親になる人に食べられて子だねとなります。
5番目に母親の胎内に入って再生するといいます。
これを祭火にたとえて説明するので五火説といいます。

このバラモン教の輪廻をいわれた「五火説」と「二道説」を、まとめて「五火二道説」といいますが、かなり素朴で物質的です。
仏教とは大きく異なることが分かります。

ですからお釈迦さまは、輪廻について、パーリ仏典の中部経典にこう説かれています。

私はこの話を他の修行者やバラモンに聞いて語るのではありません。
そうではなく、私が自ら知り、自ら目にし、自ら了解したことを、それを私は語るのです。

お釈迦さまは、仏のさとりを開かれて体得された仏智によって、本当の輪廻転生を教えられているのです。
ですから仏教の輪廻は、バラモン教とはまったく異なります。

では、仏教の輪廻は、バラモン教と違ってどこに生まれ変わるのでしょうか?

4.輪廻転生する6つの迷いの世界

生まれ変わりというと、ほとんどの人は、
死ねば人間から人間に生まれ変わるものと思っていますが、
人間だけではありません。

お釈迦さまが「六道」と言われており、六道について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
六道と六道輪廻の解脱方法

六道とは、どんな世界に生まれ変わるかというと、
大きく分けて6つあります。

地獄餓鬼畜生修羅、人間、天上の6つの迷いの世界です。
この6つの迷いの世界を「六道」といいます。
修羅を人間におさめて、「五趣ごしゅ」といわれる時もあります。

それぞれどんな世界かといいますと、
地獄界は、最も苦しみの激しい世界です。
その苦しみは、とても言葉では言い表せないと教えられています。

餓鬼界は、食べ物があっても食べられず、飲み物があっても飲めない世界です。
食べ物や飲み物を口元まで運ぶと青白い炎となって食べられません。
飢えと渇きでガリガリにやせ細り、骨と皮になって苦しみます。

畜生界とは、犬や猫など、動物の世界です。
これは人間界からも見えるので分かりやすいと思います。
弱肉強食で常に不安に怯える世界です。

この3つを「三悪道さんあくどう」といい、特に苦しみの激しい世界です。

修羅界とは、闘争の激しい世界です。

人間界とは、苦しみも楽しみもある私たちの生きている世界です。

天上界とは、六道の中では楽しみの多い世界ですが、
極楽浄土とは違って、やはり迷いの世界です。
悲しみもあり寿命もあります。

これらの6つの苦しみ迷いの世界を、遠い過去から、
生まれ変わり死に変わり、車輪が際限なく同じところを回るように
エンドレスに生死生死を続けて行くとことを
輪廻転生」とか「六道輪廻」と教えられています。
流転輪廻るてんりんね」とも「生死輪転しょうじりんてん」とも言われます。

5.次に生まれる世界はどうやって決まるの?

では、次は、どんな世界に生まれるかというと、
仏教では、因果の道理にもとづいて、
死ぬまでに造った行いによって次に生まれる世界が決まる
と教えられています。

次に生まれる世界を決めるのが、「引業いんごう」です。

」とは、行いのことで、「引」とは報いの全体を牽引するということです。
つまり「引業」は、死後六道のどの世界に生まれるかを決定する行い、ということで、それまでに造った業の中の最も重い業をいいます。

よく、死ぬと地獄閻魔大王が、浄玻璃鏡じょうはりのかがみで、
死んだ人のそれまでの行いを映し出し、死後に行く世界を決めるというのは、
引業をたとえたものです。

引業以外のすべての業を「満業まんごう」といいます。
」とは円満のことで、報いの全体を円満させる行いが満業です。
引業により次に生まれる世界が決まったら、その世界での男女や、どんな家柄に生まれるか、そこはお金持ちの家か、貧しい家か、頭がいいか悪いか、美しいか醜いかなど、生まれた時点での状況のすべてを決定します。

引業と満業
  • 引業…死ぬまでの最も重い業。死後生まれる世界(六道)を決定。
  • 満業…引業以外の一切の業。死後の男女、貴賎、貧富、美醜等一切を決定。

こうして因果の道理にしたがって、引業によって六道のどこに生まれるか決まり、満業によってどんな状況になるか決まるのです。
死後、どのように生まれ変わるかは、因果応報なのです。

6.知らないうちに地獄行きになる行いとは?

仏教では、生き物を殺す殺生罪を造ると、次は地獄に生まれると教えられています。
それは人殺しだけではなく、動物や魚なども殺せば殺生罪です。
なぜなら、仏様のまなこからご覧になると、生まれ変わりを繰り返している私たちすべての生命は平等で、命の重さに上下はないからです。
どんな生き物でも死にたくないのは同じで、殺されれば苦しんで死んで行きますから、生き物を殺せばその結果、苦しみの世界である地獄へ生まれ変わることになるのです。

しかしながら地獄といっても色々な種類があります。
詳しくは以下の記事に分かりやすく解説してありますのでご覧ください。

地獄の種類と階層(八大地獄)と苦しみ・人は死んだらどうなるか?

その色々な地獄の中で、もし殺生罪だけなら、等活地獄とうかつじごくに堕ちると教えられています。

それに加えて、他人の物を盗む偸盗罪ちゅうとうざいを造ると、
黒縄地獄こくじょうじごくに堕ちると説かれています。

それに加えて、邪淫じゃいんの罪を犯すと(殺生偸盗邪淫)、衆合地獄しゅうごうじごく
さらにお酒を飲むと(殺生偸盗邪淫、飲酒)、叫喚地獄きょうかんじごく
さらに、ウソをつくと(殺生偸盗邪淫、飲酒、妄語)、
大叫喚地獄だいきょうかんじごくです。

では、どうすれば人間に生まれられるのでしょうか。
それは、これらの5つをしないことです。

7.人間に生まれるには?

つまり人間に生まれるには、
五戒ごかいという基本的な戒律を守り続けなければなりません。
五戒」とは、次の5つです。

五戒
  • 殺生ふせっしょう…生き物を殺さない
  • 偸盗ふちゅうとう…他人のものを盗まない
  • 邪淫ふじゃいん…よこしまな男女関係に陥らない
  • 妄語ふもうご…嘘をつかない
  • 不飲酒ふおんじゅ…酒を飲まない

これだと魚や肉を食べたり、お酒を飲んだり、嘘をついたりしてもダメですから、ほとんどの人はもう手遅れではないでしょうか?

ですからお釈迦さまは、『涅槃経ねはんぎょう』にこう説かれていると『往生要集』に教えられています。

人趣にんしゅに生まるるものは、爪の上の土のごとし。
三途さんずに堕つるものは、十方の土のごとし。

人趣にんしゅ」というのは、五趣の中で人間界のことです。
三途さんず」とは、地獄、餓鬼、畜生の三つの苦しみの世界ですが、一番多いのは地獄です。
ですので、人間に生れる人は爪の上の土のように少なく、
地獄に堕ちる人は大宇宙の土のように多い、
ということです。

こうして、苦しみ迷いの旅を果てしなく続けていくのです。

8.どうすれば輪廻転生を離れられるの?

では、どうすれば、この果てしない輪廻転生を
離れることができるのでしょうか。
輪廻転生から離れることを「解脱げだつ」といいます。

解脱するにはどうすればいいのかというと、
仏教の根幹である因果の道理から、
すべての結果には必ず原因がありますので、
輪廻転生にも原因があります。

その根本原因をなくせば、輪廻転生から離れ、
永遠に変わらない幸福になれるのです。

その迷いの根本原因が、仏教に教えられているのですが、
仏教は、人間に生まれたときしか聞けませんので、お釈迦さまはこのように説かれています。

人身受け難し今すでに受く
仏法聞き難し今すでに聞く
この身今生に向かって度せずんば、
さらにいずれの生に向かってかこの身を度せん。

生まれがたい人間に生まれ、
聞きがたい仏法にめぐりあえた今生に、
迷いの解決をしなければ、いつするというのであろうか、
永遠のチャンスは今しかない、ということです。

迷いの根本原因については、分かりやすいように
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一度見てみてください。

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この記事を書いた人

長南瑞生

長南瑞生

仏教が好きで、東大教養学部で量子統計力学を学んだものの卒業後は仏道へ。仏教を学ぶほど、本当の仏教の教えが一般に知られていないことに驚き、何とかみなさんに知って頂こうと失敗ばかり10年。やがてインターネットの技術を導入して日本仏教アソシエーション(株)を設立。著書2冊。科学的な知見をふまえ、執筆や講演を通して、伝統的な本物の仏教を分かりやすく伝えようと奮戦している。

仏教界では先駆的にインターネットに進出し、通信講座受講者3千人、メルマガ読者5万人。ツイッター(@M_Osanami)、ユーチューブ(長南瑞生公式チャンネル)で情報発信中。メールマガジンはこちらから講読可能

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